本日のマンガ紹介は 「わたしの宇宙」です。
○作者 野田彩子
○出版社 小学館
○掲載誌 IKKI COMIX
○発表期間 2013~2014
○巻数 全2巻
■あらすじ
「この世界はマンガ、僕が主人公なんだ」
中学二年生の津乃峰アリスは、クラスメイトの星野宇宙から「自分達がいる世界はマンガで、僕が主人公である」と告白された。そう言われてみると、確かに見える「フキダシ」。常に“何者か”に“読まれている”状態での学校生活…アリスのプライベートも、心の中も、すべて丸見えに? そしてその先にある「真相」とは?(amazon紹介ページより引用)
~ジャンル分類~
マンガ世界メタ漫画
~要素方程式~
[マンガ]×[ルール]×[ミステリアス]
=[気付き]×[物語]
「この世界はマンガの中の話なんだ」
物語冒頭、衝撃的な発言をした
本作品の主人公である星野宇宙。
初めはその事実を信じることが
できなかった登場人物達も
少しずつ「この世界」の「ルール」や
「法則」に気付いて理解をしていく。
少しコミカルで
少しシリアスで
少しミステリアスに進む
マンガの世界のマンガの話。
~見所ポイント~
①マンガの世界のマンガの話
「どうせマンガの話なんだから笑」
「この吹き出しは何だ!邪魔だな怒」
上記のような
「マンガでマンガ世界を揶揄する」
というような事は決して珍しく無く
それについてはこの作品も例外ではない。
ただ、この作品の突出した見所は
ひとつは「そういう話」をマンガの物語に
しようとしてしまう作者の勇気と手腕と
もうひとつは「マンガの世界」の「法則性」を
少しずつ登場人物達が気付き理解する流れ。
段々とマンガ世界の絶対的な「掟」を
理解していく様は何とも言えぬ面白さ。
②マンガ世界の法則性
やはり一番の見所は
「少しずつわかるマンガ世界の法則性」です。
これを割とスローペースに
大真面目に考えていく物語は不思議展開。
例えば「主人公は滅多な事では死なない」
別作品の話になってしまいますが
「幽☆遊☆白書」のあるシーンで
敵の仙水が遊助(主人公)に放った言葉は
個人的に衝撃的で記憶に残ってます。
「お前は自分が死なないと
思っているんじゃあないのか?」
まさにそう。主人公は滅多な事では死なない。
そういうルールを、主人公である宇宙は
物語の中で試していくのだ。
あとは「マンガの基本構成のおはなし」
おっしゃる通り
「現実世界」と「マンガ世界」の
時系列の大きな相違は
マンガ世界は現実世界の時系列の中での
一部を切り取って繋げるという基本構成。
言われるとその通りだけど
言われなければマンガを読んでいる
ときはあまり意識しない。
こんな部分を真面目に考えていく
登場人物達を見ているとそれだけで面白い。
③マンガ世界の掟を利用する
この作品。割とシリアスだったり
コミカルだったりミステリアスだったりと
色々な雰囲気で展開されていく
不思議な読み心地があるのですが
一番の見所の「法則性」の
話の展開もすごく多種多様で面白い。
例えば、女子二人でトイレや
お風呂の話になった際に
「マンガは必要な場面を切り取っていくが
私達の入浴は必要なシーンだろうか?」
という事に、真摯に
そして危機感を持って考えていくシーン笑。
最終的に友達の女の子の
入浴シーンが「描かれる」のですが、
アリスは友達を救うべく
無理に登場人物を
その場で増やす為に電話をかけたり
言葉を多く出して吹き出しを出して
友達の女の子の裸を隠したり
最後には「世界的な問題」
「入浴シーンを覗いている場合じゃない出来事」
なんて露骨な妨害作に出て無事友達を守ったりと
なかなかメタでコミカルな面も面白い。
こういう「掟」を理解して
「掟」を上手く利用するような展開は面白い。
~注意点~
①アンリアルなリアル
マンガは現実世界を切り取って
時系列に並べていくという基本構成の中で
割とそこを意識しているのかわざとか
物語中は「会話が途切れ途切れ」だったりと
そういう部分をリアルに描くが為に
逆にマンガとしてアンリアルな
読み心地を感じる場面もある。
そういう読みにくさは割とある。
その「読みにくさ」を完成度が低いのか
逆に高いのか、意見が分かれそうな気も。
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「わたしの宇宙」を一言で言うならば
「ルールに気付くマンガ世界の話」
マンガ世界の話を
ただマンガ作品で揶揄するわけではなく
マンガ世界を気付いた登場人物達が
少しずつマンガ世界のルールに気付いていく。
そういった部分をリアルに描こうとして
むしろマンガとしてはアンリアルな読み心地。
また、「気付く」という部分を
スローペースに、ミステリ調で
非常に魅力のある展開が心地よく
総じて非常に面白いです。
本作品は全2巻で終わりです。
このまま「マンガ世界のルール」に
「気付く」という面を突き詰めて行くのか。
はたまたもう少し踏み込んで
新しい「面白さ」を見せてくれるのか。
是非全2巻の展開には注目です。
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