映画紹介「竜とそばかすの姫」

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本日の映画紹介は 「竜とそばかすの姫」です。

出典:映画公式サイト(画像リンク)

○原作・監督・脚本 細田守
○音楽 岩崎太整(音楽監督)
Ludvig Forssell 坂東祐大
○主題歌 『U』millennium parade × Belle(中村佳穂)
○製作 スタジオ地図
○封切日 2021年7月16日 

■あらすじ
 高知県の自然豊かな田舎町。17歳の女子高生すずは幼い頃に母を事故で亡くし、父と2人で暮らしている。母と一緒に歌うことが大好きだった彼女は、母の死をきっかけに歌うことができなくなり、現実の世界に心を閉ざすようになっていた。ある日、友人に誘われ全世界で50億人以上が集う仮想世界「U(ユー)」に参加することになったすずは、「ベル」というアバターで「U」の世界に足を踏み入れる。仮想世界では自然と歌うことができ、自作の歌を披露するうちにベルは世界中から注目される存在となっていく。そんな彼女の前に、 「U」の世界で恐れられている竜の姿をした謎の存在が現れる。(映画.com引用)


「時をかける少女」「サマーウォーズ」
などを手掛ける細田守監督作品の本作。

舞台は高知の田舎町と
仮想世界「U」の二世界が主軸で

幼少期に母を亡くしてから
好きだった歌が歌えなくなった
女子高生のすずが仮想世界「U」に
出会うことをきっかけに

「U」の世界で「ベル」という存在で
歌姫として注目されていく。

~映像・音楽~ 

監督は「細田守」
「時をかける少女」「サマーウォーズ」
今やアニメ監督としての知名度は高く
本作はサマーウォーズに続く仮想世界。 
 
音楽は「岩崎太整」
本作は「歌」が重要要素という事もあって
主題歌『U』を歌う歌手の中村佳穂
主人公すずの声優も務める。

特に今回本作の最大の魅力とも言える
その音楽性と映像性は圧巻。  

~演出・時間~ 
 
上映時間は121分

作品演出は二つの世界。
高知の田舎町」と「仮想世界:U

田舎町で冴えない女子高生すずが
とあるきっかけで出会った仮想世界で
歌姫として注目されることで動き出す。

その仮想世界で出会う「竜」の存在から
様々なテーマが動き出していく。

上映時間は2時間と少し長めで
体感としても長く感じる印象です。 

~見所ポイント~ 

①圧巻の映像・音楽性

とにかく本作の映像・音楽性は見所。

仮想世界で歌い上げるベルの姿は
仮想世界のCG映像と相まって圧巻で
特に低音の重さは映画館ならではの響き。

高知の田舎町の静けさと対比するように
仮想世界での煌びやかな音と映像は
アニメ映画として世界に引き込んでくれる。

主題歌や劇中歌含めてどれも良かったです。

~注意点~ 

①惜しい!2つの理由

本作ほど「惜しい」と思える作品も無く
やはり一番はその「脚本構成」だったと思う。

その「惜しい」点が大量にあるので絞ると
「テーマのブレ」と「終盤の尻すぼみ」かと。


「テーマのブレ」は端的に言えば
描きたいテーマが多すぎたし煩雑で
終盤へのカタルシスが消えてしまった。

母と娘、父と娘、本当の自分、恋愛
助けたい気持ち、現実と仮想、社会
虐待、自分の居場所、人との繋がり etc


とにかくその大量のテーマが
「すず」と「竜」の出会いの行く末に
どう描くかという「脚本」の軸がまとまらず
映像・音楽性の良さだけが目立ってしまう。


「終盤の尻すぼみ」は特に気になっていて
詳細は語りませんが、本作の終盤の描き方は
ひとつの映画として魅力的とは思えず

「すず」の想いや成長だとか
「竜」の正体や抱える問題だとか

終盤で描かれる「テーマ」が
それまで物語で描いていたものに
上手く繋がっていたとはとても思えず

むしろ「繋がっていたのか?」と思う程
最後の30分の尻すぼみは残念に感じて。


この大別した2点によって
映画作品としての「カタルシス」
最終的に「歌と映像」のその一瞬だけに
感じてしまった事が本作最大の「惜しい」点。

②ディズニー風味

仮想世界歌姫の「ベル」のキャラデザは
あの「アナ雪」のデザイナーという事で
言われてみれば気付くキャラメイク。

また歌姫と竜、仮想世界で踊る二人
この演出は誰もが気付く「美女と野獣」の
オマージュが満載。名前も同じ「ベル」。

この「ディズニー風味」が鼻につく人も
いるかもしれない。オマージュ要素は強い。

③父親について

かなり余談でしょうもないんですが笑
すずの父親の声役が役所広司さんなんですが

物語序盤で若干の登場だったものの
終盤ですずの脳内再生で呼びかける
そのシーンの「渋すぎる」名演技が

感動的すぎてキャライメージに合わず
よくよく振り返ってみるとあのシーンは
結構違和感あったなぁと笑。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「竜とそばかすの姫」を一言で言うならば

脚本さえ良ければ傑作にも  

細田守監督作品の「集大成」
謳われている本作「竜とそばかすの姫」

確かに映像・音楽演出は過去一だし
テーマも過去作の要素を詰め込んだ印象。

ただし本作では作品テーマ自体も
「集大成」を詰め込んでしまったので笑
色々打消し合って薄まってしまった。

総じて本当にテーマ・脚本が良ければ
「傑作」になり得たと思えば思うほどに
「惜しい」と思ったのが正直な感想。

それでも映像・音楽・演出においては
圧巻のアニメ映画であることも事実なので
その作品世界観は注目です。
 

5つ星評価 3.7

(*’▽’)「映画紹介一覧はこちら」(*’▽’)




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コメント

  1. 通りすがり より:

    オオカミこどもの時から顕著だけど、作品の設定に必然性が感じられるように纏める意識を持ってくれよ!に、尽きるかなあ。オオカミじゃなくても良かったのでは?バケモノでなくても?練り込んだ人間ドラマでも良かったじゃん。「美女と野獣」を入れた事の整合性は取れてるように見えてるの?社会性の優先度は作品毎・場面毎にちゃんと決めてる?等々。

    視聴するのはマンガ・アニメの国の住人だよ。こいつらを納得させる技術を磨いてきたんじゃないの?細田監督ってば。ファンは監督の持ってる世界観が好きなんだよ。
    崩れ掛ってるよ。マジで危険だわ。

    • anago より:

      [通りすがりさんへ]
      コメントありがとうございます。
      「必然性」。おっしゃる通り今回は特にその部分はまとまりが無い脚本だったなぁと自分も思っています。
      映像、音楽、演出など細田監督の「世界観」は自分も好きだし応援していきたいと思っているので、個人的には脚本家を入れてくれないかなぁと・・。