アニメ紹介「AIR」

この記事は約12分で読めます。


本日のアニメ紹介は 「AIR」です。

○原作 Key / Visual Art’s
○監督 石原立也 ○脚本・構成 志茂文彦
○キャラデザ 荒谷朋恵
○音楽 折戸伸治、戸越まごめ、麻枝准
○製作  京都アニメーション
○放送期間 2005年 

注意

本記事は結末・ネタバレを含んでおります。

■あらすじ
 人形使いとしてさすらいの旅に出ていた国崎 往人(くにさき ゆきと)は、田舎の海辺町で神尾 観鈴(かみお みすず)という少女と出会う。往人(ゆきと)と観鈴(みすず)はひと夏の思い出を過ごすこととなるが、往人が出会った少女の観鈴は不思議な夢を見ていることを語り始める。


Keyブランド原作恋愛アドベンチャーゲームの
京都アニメーションによるTVアニメ化の本作。

感動シナリオ特化で「泣きゲー」と称される
Key原作と京都アニメーションの最強タッグ。

後の名作アニメ「CLANNAD」に並び
個人的にはイチオシの名作です!!

本記事はネタバレを含みますが
ストーリー解説や考察、感想を交えて
本作視聴後に楽しめるように書いていきます。

~映像・音楽~

アニメ制作は「京都アニメーション」
元請製作歴で言えば本作は2作目にあたり
おそらくまだ認知は少ない頃だった?はず。

Key×京アニの最強タッグはここから始まり
本作でもすでに京都アニメーション特有の
綺麗な作画と繊細な心理描写は目立つ。

音楽は「折戸伸治、戸越まごめ、麻枝准」
Key作品と言えばの麻枝准の手腕はすごく
個人的にAIRの音楽は突出して良く感じる。

OP曲の『鳥の詩』や挿入歌の『青空』は
アニメ音楽の歴史に残る名曲だと勧めます。
本当に素晴らしいのでここは注目。

~演出・時間~ 
 
アニメ話数は「12話+特別編2話+総集編1話」
基本的には全12話を見れば完結となります。
 
演出の特徴は原作ゲームに通じていて
大枠でゲームシナリオに沿った3部構成で

第一部「DREAM編
第二部「SUMMER編
第三部「AIR編

上記のようなアニメ構成で展開される。
どのような展開になるかを概略で紹介。

~物語概略~

第一部「DREAM編」

さすらいの旅に出ていた往人(ゆきと)は
海辺町で観鈴(みすず)という少女に出会う。
義理の母である晴子(はるこ)と二人暮らしの
観鈴に招待され、往人は居候をすることに。

往人と観鈴はひと夏の思い出を過ごすが
観鈴は「ある夢」を見ていることを往人に話す。
そして観鈴は原因不明の容態悪化が続いていた。

「ある夢」は「翼を持ち空を飛ぶ夢」であり
往人がかつて母に聞かされた「翼を持つ少女」
と同じような内容だった。

往人が人形使いとして受け継ぐ「方術」
観鈴が記憶にないはずの「空を飛ぶ夢」

往人は次第に自分自身の目的を悟ったように
自身の方術、人形の力を使い自身と引き換えに
観鈴を「夢」から解き放とうと決心した。


第二部「SUMMER編」

往人の方術と人形の力が発すると同時に
物語は1000年前の夏に移り変わります。

1000年前。大きな両翼を持つ「翼人」の末裔の
神奈備命(かんなびのみこと)は崇められるも
翼人のその絶大な力の制御の意味も含めた
実質は軟禁という状態に強いられていた。

自身の置かれた状況や悲劇の運命を受け入れるも
外の世界、母との出会いに想いを馳せていた。

そんな時出会った護身守衛の柳也(りゅうや)と
同じく女官の裏葉(うらは)のひと時の楽しい
日々を過ごした3人は、外の世界、命(みこと)を
母に出会わせるため社を脱出することを決する。

後に社の守衛に捕らわれてしまった3人だが
命(みこと)は翼人の力を開放し二人を救うも
方術の呪いと大量の矢を受け空で命を落とす。

後に命(みこと)の魂がいまもなお

空を彷徨い続けていること知った柳也と裏葉は
子供を宿し、未来にその想いを託すことにした。


第三部「AIR編」

時は現代に戻る。
往人(柳也
の魂はカラスに移り変わっていた。
往人はかつて翼人を救おうとした柳也の子孫で
観鈴の病は1000年続く翼人の呪いであった。

観鈴はカラスを「そら」と名付けた。
観鈴と晴子の生活はこれから続いていくと
思った矢先、観鈴の父親が迎えにくる事で
晴子(はるこ)は別れを惜しむようになる。

翼人の呪いにより足が動かなくなり
記憶も薄れてしまった観鈴であったが
父親に連れていかれる最中記憶を取り戻し
晴子のもとへ駆け寄って二人の絆は深まる。

観鈴は翼人の呪いによって弱りきるも
往人と出会え、晴子と過ごせた「ひと夏」を
「幸せだった」と笑顔で語りながら
晴子の胸の中で息を引き取ることとなった。

~見所ポイント~

①ひと夏から千年の夏へ

OP冒頭に「the 1000th summer -」と映る。
本作はそれまでの第1部日常パートから
一気に1000年前に移る壮大な物語を魅せる。

往人が母から聞かされた「翼を持つ少女」の話と
観鈴の病と関係する「空を飛ぶ夢」の話とが
1000年前から続く「呪いを解く」壮大な話に
繋がっていく展開の引き込み方は見事で面白い。

過去と現在を結ぶストーリーは
決して目新しいものではないんですが
伏線や展開作りが見事でKeyブランドが
良シナリオと言われる所以がよくわかる。

②一人称視点の切り替え

本来、小説然りアニメなど含め
一人称視点や俯瞰視点などを作中で
切り替える事は難易度も高いし見づらく
あまりスタンダードではない手法と思うなか

本作ではそれまで往人の視点から
第3部では往人の魂がカラスに移り変わり
晴子と観鈴を俯瞰する視点へ切り替わる。

これは第一部、二部が命(みこと)を助けようと
過去から現在に紡ぐ往人と柳也の想いを描き
第三部は晴子と観鈴の「親子」の絆を描く事を
最大限に生かしながら成立させるシナリオの妙。

そしてこの晴子と観鈴の親子愛の演出で
翼人の呪いと観鈴のひと夏が締めくくる展開は
本当に京アニクオリティ含め素晴らしかった。

1000年前の命を囲む柳也と裏葉。
現代の観鈴を囲む晴子とそら(往人)。
その対比の演出もまた切なく綺麗。

そしてこの演出が最高潮を迎える
11話12話(最終話)は必見。
泣きゲー所以のKeyブランド破壊力を是非。

③ラストと翼人の呪い

物語最後の最後。

翼人の呪いと闘い終えた観鈴と往人と晴子。
本来ここで翼人1000年の呪いに決着・・・
という締めくくりでも良い演出と思いますが

実は本作ラストでは、翼人の呪いの記憶が
海辺で遊ぶ少年少女に視点ごと移り変わり
観鈴と往人が出会う場面を少年が眺めながら
物語が続く?事を示唆する場面で終える。

これは柳也の意志だけが残る「安堵感」
それとも翼人の呪いが続く「絶望感」なのか
なんとも言えない余韻を魅せる終わり方で。

個人的にはそういう「ハッピーエンド」で
終わらないつつも「謎」を残す演出は好きなので
見事に心を掴まれました笑。

また最後に少年少女が歩くシルエットの
「少女」だけが切り取られてタイトルロゴ
伏線回収や翼人の呪いの始まりを示唆する演出も
見事だし世界観に引き込まれる演出でした。

~注意点~ 

①Keyブランドキャラの「記号性」

Keyブランド然り恋愛ゲーム然り
やはりキャラ付け特有の「記号性」
「わかりやすさ」のそのデメリットは
苦手な人には刺さらない可能性が大。

特にKeyブランドと独特な作画も相まって
「とっつきにくさ」が目立つのかと思う。

②原作シナリオと全12話構成

原作の膨大なシナリオや密な展開を
全12話で描くための「詰め込み感」は
どうしても否めない点はあります。

特に本作で言えば「往人」の記憶や
観鈴を救おうとする「心情」の移り変わりが
唐突、というより語られていないので
若干「?」と首を傾げてしまう部分は注意点。

③11話の晴子の呼び方の謎

これは原作未プレイでアニメも
何回も見ていないからかもしれませんが

11話で観鈴が記憶を取り戻し
晴子のもとへ駆け寄る屈指の名シーン。

観鈴は晴子を「ママ」と叫んで駆け寄るんですが
思い返すとそれまで観鈴は晴子を「お母さん」と
呼んでいた気がする「違和感」があって・・。
これは記憶が消えてしまったことの示唆?
また12話最後はまた「お母さん」と呼んでいる。

調べてみるとこの11話の脚本構成だけ
今まで担当していなかった方が脚本で
単なる「間違い?」とちょっと疑問が。

これは原作プレイで何か理由がわかるのか
それともアニメで納得の演出が隠されているのか
ちょっと考察しがいのある「謎」でした。
(理由を知っている方は是非コメントを!)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「AIR」を一言で言うならば

千年を紡ぐ少女のひと夏  

田舎町の優しくノスタルジーな日常と
唐突に移り変わる千年の記憶を紡ぐ
少女の「ひと夏」を描く本作のAIRは

Keyブランドの泣きゲーシナリオと
京アニの繊細な心理描写が相まって

2005年放映という古いアニメながら
今も語り継がれる「名作」として納得の
素晴らしいアニメだったとおススメします。

そして麻枝准さん含めてのその「音楽性」は
本作を「名作」とする重大な要素だと思うし
「夏」になって挿入歌の「青空」を聞くと
本作「AIR」の情景が鮮明に蘇ります。 


5つ星評価 4.6

(・ω・)「アニメ紹介一覧はこちら」(・ω・)



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コメント

  1. とあるアラフィフ主婦 より:

    ゲームでは主人公たちの魂が未来に転生するだけでなく、過去にも
    さらにはタイムリープともいえる状態にもなってて、時間軸がややこしいのです。

    最後にでてきた少年と少女は翼人の呪いから解放された往人と観鈴の転生した姿で
    まだ観鈴と出会ったばかりの青年往人達と同時に存在しています。

    少年少女達はこれから解呪後の幸せな人生を歩んでいく訳ですが、
    メタ視点で青年往人達のこれから始まる苦しみや戦いを識っており、
    「彼らには過酷な日々を。僕らには始まりを」
    と口にします。
    ふたりは手を繋ぎ開かれた未来に向かって歩きだします。
    振り返り「さよなら」の言葉を残して。

    という、え?これって青年往人達の苦しみっていつ終わるの?
    ループって怖くね?と
    自分は当時ゲームが終わって唖然とした覚えがあります。

    なので私にとってAIRとは感動よりも不穏な不気味さを多く残した
    ゲームになってます。

    • anago より:

      とあるアラフィフ主婦さんへ

      事情により2023年はほぼブログ休止状態で
      コメントご返信が遅くなり過ぎてしまい申し訳ございません。

      私も初見はコメントと全く同じような感想で
      どちらとも取れるような「含み」を持ったラストが
      個人的にツボでしばらく世界観に耽っておりました。

      原作ゲームは未プレイなのですが
      いつか原作をやった後にまたアニメを見てみたら
      感想もだいぶ変わるのかなぁと思っています。