マンガ紹介「聲の形」

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本日のマンガ紹介は 「聲の形」です。

○作者 大今良時
○出版社 講談社
○掲載誌 別冊少年マガジン
○発表期間 2013-2014
○巻数 全7巻

■あらすじ
 お前なんかに出会わなきゃよかった。もう一度、会いたい。
耳の聞こえる少年・石田将也(いしだしょうや)。耳の聞こえない転校生・西宮硝子(にしみやしょうこ)。ふたりは運命的な出会いをし、そして、将也は硝子をいじめた。やがて、教室の犠牲者は硝子から将也へと移っていった。幾年の時を経て、将也は、 もう一度、硝子に会わなければいけないと強く思うようになっていた。(amazonより引用)

~ジャンル分類~ 
聴覚障碍ヒロイン学園漫画 

~要素方程式~ 
[聴覚障碍]×[いじめ]×[青春]
=[伝わる]×[伝わらない]


このマンガがすごい!2015年オトコ編で
第一位を獲得した本作品。

ジャンルは聴覚障碍ヒロインと称しましたが
あくまでそれは一部の要素であって
話の根本には人と人が日々触れ合う中で
起きる「思う」「思われる」などの

意志疎通の難しさや後悔
はたまた希望や勇気などの
様々な「感情」を
聴覚障碍のヒロインを基点に描かれる作品。

出典:コミック「聲の形」第1巻

話の大筋は小学校時代、転校生として
やってきた聴覚障碍の西宮硝子

その西宮を面白半分でいじめてしまった
石田将也が主軸に描かれていく学園物で

小学校時代にいじめを
行ってしまった罪を償うために

改めて西宮に会いに行こうと前に進む
石田の行動から物語は大きく進んでいきます。

~見所ポイント~ 

①西宮硝子

まずはこの作品の中心人物でもある西宮硝子。

彼女は小学校時代
石田将也とその他クラスの子たちから
「聴覚障碍」に関していじめを受けていました。

それでも西宮は怒りを表した事は無く
いじめていた石田にも
ごめんなさい」と謝って近づきました。

出典:コミック「聲の形」第1巻

高校生になって石田と再会してからは
かつて小学校時代に離ればなれになった
友人達との出会いや石田との意志疎通を
繰り返していく度に、成長をしていきます。

②石田将也

石田将也は、小学校時代に
西宮をいじめていた過去を持ち

そのいじめが原因で今度はいじめを
受ける側になったこともあり
中学校や高校では自ら「孤立」を望み
誰とも繋がらない孤独な生活をしていました。

出典:コミック「聲の形」第1巻

そんな石田もかつての「罪」を償おうと
高校生になって西宮との再会を願って進んだり
かつて疎遠となってしまった「友達」とも
勇気を持って出会い「気持ち」を語っていく。

③「伝わる」「伝わらない」

本作品で一番見所だと思うのは

「聴覚障碍」だったり
「いじめ」だったり
「青春・友情」だったり


色々と話の所々に作品を構成する
「要素」は散りばめられていますが・・

テーマは「意志疎通」なんだと思います。

自分が相手に「伝えた」ことが
全部「伝わる」ことは稀であるし

相手が自分に「伝えようとした」ことが
全部「伝わった」とも自信は持てない。

出典:コミック「聲の形」第7巻

普段そのコミュニケーションは
「目」や「耳」で多くが処理され
その点で「聴覚障碍」を持つ西宮に対して
どう「コミュニケーション」をとって良いか。

小学校時代の彼らにはその術が無く
その「違和感」は「興味」に移り
「興味」は「いじめ」と移り変わってしまった。

ただ、この作品を読んで強く想うのは
彼らが取れなかった「意志疎通」は
決して西宮の「聴覚障碍」が問題なのではなく

自分自身が「相手」に対しての「意志疎通」を
絶ち切ってしまう「弱さ」にあったのかと。

その感情を上手く表現できているのが
この作品で度々登場する顔の「×」印です。

出典:コミック「聲の形」第1巻

石田将也が見る世界には
「後悔」「気まずさ」「苦手」など
自分自身で相手への「意志疎通」を
絶ち切ってしまう感情を×印で表し

この×印は、石田の感情の変化と共に
見えたり隠れたりしていきます。

そしてこの×印は西宮を始め多くの
かつての友達との意志疎通を繰り返すごとに
次第に取り外されて、石田もまた相手へとの
コミュニケーションを進んで取っていく。

やはり本作品のテーマは「意思疎通」で

実は西宮の持つ「聴覚障碍」は
作品の「基点」でしかないと
作品を読み進めていけばいくほどに
そう思ってしまう読み心地でした。

④胸キュン告白シーン

「聴覚障碍」はあくまで
「基点」でしかないと言いましたが

それでも聴覚障碍を持つ西宮硝子の
この告白シーンは紹介しなければ!!

出典:コミック「聲の形」第3巻

これはもう読んでいて
胸を打ち取られるので注意です笑。

学園漫画の告白シーン史上でも
ベスト10には入るんじゃないでしょうか!

⑤最終回・結末

ネタばれは避けますが本作品の最終回・結末
個人的には大好きというか・テーマだとか
作品の流れからして「大正解」だっと思います。

人間誰しも人生を重ねれば重ねていくほどに
石田将也のように「×印」を
つけたくなるような「人」や「出来事」は
少なからずあるんではないでしょうか。

それでもその「×印」に勇気を持って進めば
意外に相手は全然気にしていなかったり
思ったよりも打ち解けたりと

その「意志疎通」の第一歩で
物事は大きく動き出していくと思います。

その「意志疎通」という部分に関して

「過去と現在」「友達」「コミュニケーション」

これら三点が集合する「イベント」と言えば何か。

実は最終回はそこに向かう
石田と西宮の二人で終わるのですが
まさにこの作品の「根本」を体現するような
結末だったんじゃないかと思います。

~注意点~ 

①白黒つける話じゃない

登場人物、心理描写、障碍
いじめ、コミュニケーションなど
全てにおいて丁寧に描かれて
繊細な印象を持つ本作品ですが

それ故に、青春物という
くくりの作品ではないので

常にやんわりとぼやけた色合いで
進んでいくような物語なので
読む人にとっては「女々しい」とか
「物足りない」と思う面もあるかもしれない。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「聲の形」を一言で言うならば

意志疎通には何が必要?  

タイトルにある「」という文字には

「聲」という漢字が
」と「」と「」という
組み合わせでできた説を知った
作者が選んだという理由があるという。

かつて小学校時代に
西宮硝子とコミュニケーションを
取ることができなかった石田将也は
本当に西宮の持つ「聴覚障碍」が
理由だったのでしょうか。

「声」の聞こえない西宮との意志疎通の為に
「手話」を覚えてコミュニケーションを
必死に取ろうとする石田の姿を見る限り

意志疎通ができなかった本当の理由は
相手に×印をつけてしまった
石田将也の「弱さ」だったのだと思います。

「声」が通じない相手に対して「」を使い
「声」が通じない相手に対して「」を傾ける。
「声」が通じない相手に対して
意志疎通」の方法がないわけではない。


「思う」「思われる」
「伝える」「伝わる」などの

誰しもが普段から感じる「意志疎通」を
「聴覚障碍と青春」で象った本作品は
多くの「共感」と多くの「勇気」を
感じる作品なんだと思います。


個人的好み度
 83%

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