本日のマンガ紹介は
「コインロッカーのネジ。」です。
○作者 こなみ詔子
○出版社 新書館
○掲載誌 Wings
○発表期間 1990年開始
○巻数 全5巻 文庫版全3巻
■あらすじ
どこまでも続くかのような、会社勤めの決まり切った毎日をおくる八坂弘。親しい人を立て続けに亡くした過去は、彼の手首に深い傷跡として残っている。誰もその傷に触れようとしなかった。目をそらすように。
だがネジは違った。「痛くなかった?」弘の頬に涙が伝った。
こうして弘と、赤ん坊の時にコインロッカーに捨てられていたネジの同居は始まった—–。(コミックス内ページより引用)
~ジャンル分類~
日常人間ドラマ漫画
~要素方程式~
[純粋]×[心の傷]×[少女]
=[不思議]×[人間]
本作品のあらすじは
コインロッカーの前で出会った少女「ネジ」と
大切な人を亡くした過去を持つ八坂弘の
不思議な同居生活が中心に語られていく物語。
傷つける人間
傷つけられる人間
見てみぬふりをする人間
人間の心情や傷を
繊細に語っていくこの作品。
序盤の八坂弘シーン。
手首の傷を見てみぬふりをする同僚。
序盤でいきなりの展開と繊細な表現力。
そして何よりそんな作風の中で
唯一透明感あるキャラクターのネジ。
「何を怒ったらいいの?」と弘に語る
何ものの感情も持てないネジ。
人間の中に潜む
様々な心情、辛さ、憎しみ、悲しみなど
そんな情景をネジがやさしく見守っていく。
~見所ポイント~
①一話完結の哲学感
八坂弘とネジを取り巻く何らかの傷を持った
登場人物たちの人間関係や事件などを通して
コインロッカーで生まれた少女「ネジ」が
そっとつぶやくように話しかけ
そして登場人物たちを癒していくのが基本的展開。
弘の手首の傷を「痛かった?」と聞くネジ。
真っ直ぐな純粋な質問。
一話一話で展開されるストーリーは重く
不思議な暖かさで見守るような「ネジ」の存在が
本作品の見所なんじゃないかと思います。
でもすべて重いわけでもないんです。
特に物語中盤の「雪の伝言」以降を境に
温かみあるストーリーも多く登場してくるので、
そこまで重いわけでもないんです。
ある意味「雪の伝言」が肝なのかもしれません。
②繊細なマンガ表現
マンガには人それぞれ違いはあるものの
コマに設定されている適切な読むスピードがある。
それを台詞だったりコマ割だったり
時間軸を表現していくんだと思いますが
本作品は読んでいて酔ってきます。
大胆なコマ使いと奇抜で繊細な表現。
コマの表現が多彩で
読むスピードがメチャクチャ。
もちろんいい意味でです。
普通スピードで読んでいたかと思うと
急にコマの構図が変わったり
台詞量が極端に少なくなったり
これは間違いなく「読みにくい」と感じます。
このマンガ表現は注目。きっと驚く表現だ。
~注意点~
①理解が難しい
独特な雰囲気が毎秒出ているので
読んでいてわからないことも多数出てくる。
それに全体的に台詞は少なく
表情や画で語る感じなので、
ちょっと「読みにくい」かもしれない。
また、もともと本作品が
「KAMUI-神已-」という作品と関係があるので
そちらを読んでからの方がいいかもしれない。
②観念的な気持ち悪さ
女性特有の表現?かどうか・・
どうにもこの作品の全体的な雰囲気は
不気味さと気持ち悪さを感じる可能性も。
ストーリーの中には気味の悪い性的な描写や
独特の狂気感や「得体の知れなさ」を感じて
間違いなく一般向けではないので注意です。
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「コインロッカーのネジ。」
を一言で言うならば
「何を怒ったらいいの?」
これはネジの言葉。
コインロッカーで生まれた少女と
大切な人を亡くした八坂弘。
顔が似ているネジと木鳩の二人。
ネジの存在の意味。八坂の過去。
繊細な表現力と独創的なコマ割り表現。
独特で唯一無二の雰囲気に挑戦したい方は是非。
個人的好み度 59%
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