本日のマンガ紹介は
「天 天和通りの快男児」です。
○作者 福本伸行
○出版社 竹書房
○掲載誌 近代麻雀ゴールド
○発表期間 1989-2002
○巻数 全18巻
■あらすじ
天とひろゆきの出会い
大学受験前のひろゆきは、素人相手に荒稼ぎをしていたある日、天という代打ちの男と麻雀勝負をすることになった。堅実な麻雀を打つひろゆきは、優勢のまま南4局まで進むも、最後の天知[テンホー]&九連宝燈[チュウレンホウトウ]のイカサマで負ける。
そんな出会いだった二人は、それから少しの付き合いと共に、代打ちとしての裏社会での麻雀の世界に、ひろゆきは入っていくことになる。ここであのアカギも登場する。
東西対決
ひろゆきが代打ちの世界から身を引き、普通の大学生活をしている中で、ひろゆきは麻雀の裏プロ達の対決「東西戦」があることを知り、そして東の頭が天であることも知った。東のメンバーになんとか入れてもらったひろゆきは、天才アカギと天、仲間と共に、東と西の命運を掛けた東西戦で、様々な強敵に立ち向かう。ここがこの天の一番面白い部分。ほとんどの内容がここ。
アカギの葬式
東西戦も終わり、サラリーマンとして過ごしていたひろゆきは、ある日新聞の記事で、アカギの通夜の存在を知ることになる。通夜といってもアカギはまだ生きている。彼が言うに通夜の前夜祭というもので、かつて東西戦で戦ったものが、その前夜祭に呼ばれた。
アカギは自殺装置をつくり、いつでも死ねる状態にいる。もしも説得を試み、アカギが死をとどまったら死なないというもとに、かつての仲間たちの最後の説得が行われる。
~ジャンル分類~
麻雀ギャンブル漫画
~要素方程式~
[麻雀]×[福本初期]×[心理戦]
=[構成力]×[アカギ登場]
「天」は福本伸行作品の初ヒット作品で
内容は純粋な麻雀マンガとして完成度が高く
総合的に見ると作者麻雀漫画内では随一と思う。
ひろゆきと天という二人の主人公をもとに
様々な麻雀バトルが見ものである本作品。
本作品に登場する「アカギ」というキャラクターは
後に福本作品の代名詞ともなる麻雀作品主人公で
おそらく「アカギ」を知ってから
本作品にたどり着くのが一般的な流れかなと。
最初の1巻はハートフルコメディー風で
現在の作風とは真逆で気持ち悪く感じますが笑
2巻以降からはすごく純粋な
麻雀マンガで楽しめる内容となっているので
1巻はスルーでお願いします笑。
~見所ポイント~
①福本伸行を知れる作品
この「天」と言う作品。
作者作品歴でも初期から連載期間も長く
画風や作風など様々な軌跡がたどれる作品。
福本さんがやりたかった「人情物」でスタートし
その後、麻雀物という形で
多様なギャンブル性と「心理描写」が展開され
最後はアカギの通夜で
「メッセージ性」を伝えて終わるということで
福本伸行という漫画家を知れるいい作品だと思う。
完成度も抜群で特に麻雀のバトルにおいて
アカギと比べても格段に本作品のほうが面白い。
アカギはどちらかと言うと心理描写メインかなと。
コミックのほとんどを占めている東西戦では
登場キャラクターのそれぞれが持つ
麻雀の打ち方、個性、心の強さ・弱さなど・・
キャッチーでわかりやすい展開が楽しめる。
また作品内のクリア麻雀や
二人麻雀などの麻雀アイデアも面白い。
作者作品群で言うと「銀と金」と「天」
この2つは間違いなく面白くおススメできる。
②アカギの死生観
アカギの死生観を語る終盤。
ストーリーの流れでみるとおかしく
ツッコミ所満載な展開なんですが笑
ここの1巻分。
ここのアカギの通夜前の最後の話は
非常に奥深く、考えさせられ
とても心揺さぶられる事は間違いない。
心揺さぶられるには「アカギ」を読んでから
この天才の最後を見届ける方が感銘深いと思うので
是非「アカギ」を読んだ後に
本作品に目を通して欲しい。
~注意点~
①謎のストーリー展開
本作品に出てくるキャラクターの「アカギ」は
今では代表作でもある「アカギ」の主人公ですが
なぜか最終巻近く脇役だったアカギの人生観
哲学的なメッセージ性の強いストーリーに変わり
全体の流れとしては意味不明な展開になっている。
もともとは天が先に連載で途中からアカギが始まり
そのアカギが人気作となった面もあり
最終的に本作品でも主人公のような扱いに笑。
物語の筋としては完全におかしいけど
最終巻近くのメッセージ性(死について)の
アカギの言動は秀逸。
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「天 天和通りの快男児」を一言で言うならば
「福本マンガ哲学の集大成」
福本伸行マンガの軌跡が知れる作品。
初期の「ハートフル」
中期の「ギャンブル」「心理描写」
後期の「メッセージ性」
現在では初期の「ハートフル」は消滅だが
「ギャンブル」「心理描写」「メッセージ」など
福本マンガ哲学の集大成と言える作品。
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