本日のマンガ紹介は
「さよなら私のクラマー」です。
○作者 新川直司
○出版社 講談社
○掲載誌 月刊少年マガジン
○発表期間 2016-2021
○巻数 全14巻
■あらすじ
中学時代輝くことなく終わったウイング周防すみれは、ライバルである曽志崎緑から誘いを受ける。「一緒のチームに行こうよ、一人になんてさせないから」。そんな真摯な言葉に、周防が出した答えは・・・・。たくさんの個性豊かな選手が集まり、今物語の幕が開く!!(講談社コミックプラス引用)
~ジャンル分類~
女子サッカー漫画
~作品要素~
世界観(world)
サッカー弱小高校テーマ(theme)
女子サッカーの未来引力(catchy)
指導者視点
『四月は君の嘘』の著者・新川直司が描く
弱小女子サッカー部に入部した二人から始まる
女子サッカーを題材にしたスポーツ漫画。
弱小高校サッカー部に入部した
かつては好敵手だった二人の出会いから
環境に恵まれなかった才能の持ち主
元女子サッカー日本代表の指導者など
個性的なメンバーから描かれていく
弱小女子サッカー青春譚!!
~見所ポイント~
①物語の始まりは二人の出会い
かつては中学女子サッカー好敵手の
周防すみれと曽志崎緑は埼玉県蕨市の
蕨青南高校の女子サッカー部に入部する。
元女子日本代表の能見奈緒子が
新コーチに就任するなど
弱小サッカー部は突き進んでいく。
周防と曽志崎は同じく1年生の恩田希と出会い
数々のライバル校との試合を重ねていくなかで
成長し、サッカーの楽しさを魅せていく。
女子サッカー部で出会った運命の3人。
また、女子特有というか特徴と言うか
試合以外の日常パートでの打ち解け具合や
ライバルでありながらも登場人物共有で
「女子サッカーの未来」を見据える姿は
呼んでいて気持ちの良い共有感。
②指導者としての視点
本作魅力的なポイントとして
「監督、指導者としての視点」や
「女子サッカーの現状や牽引」などの
「女子サッカーの未来」という視点。
ここはプレイヤーの女子部員がメインですが
もうひとつのテーマとして描かれていく。
U-23日本代表経験のある深津や
元日本女子代表の能見の二人の指導者が
それぞれ指導者としての自論や対比
女子サッカーの行く末や現状を語る場面は
スポーツ漫画に留まらない魅力があります。
そしてその「視点」をプレイヤーである
女子部員達も理解、共有しているシーンは
グッとくるし心を揺さぶられるので必見。
③動きのある構図、シーン
前作である「四月は君の嘘」から
元々サッカー好きの原作者が今度は
「動きのあるものを描きたい」
という要望もあった経緯からも
そういった「活き活きした場面・シーン」は
読んでいて伝わるし、とても引き込まれる作画。
スポーツ漫画のひとつの「欠点」でもある
試合展開の長さやキャラの多さに関しては
本作は潔い展開やそぎ落とした場面作りで
非常に「読みやすさ」を重視している。
個人的には全14巻という全体の長さも然り
こういう試合描写の見やすさは好感触でした。
~注意点~
①回想の使い方
登場キャラクター、特に敵キャラにおいて
回想で深み、重みを持たせるのは常套手段で
本作でもその技法は良く使われますが
いや、良く使われるどころか・・
味方キャラ含め、この「回想」から「現在」の
この技法がほぼ全場面で繰り返されるので
ちょっとくどい印象があるのは否めない。
ここは試合途中でも繰り返されるので
折角の巧い試合描写や構図のスピード感が
崩されるようでちょっと惜しい。
②物語の結末
これはネタバレ防止で伏せますが
終わり方がちょっと・・・。
構想通りの終わり方だったのだろうか。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「さよなら私のクラマー」を一言で言うならば
「女子サッカーの新たな未来」
タイトルにある「クラマー」
実は本編では全く登場しませんが
これはサッカー元日本代表コーチで
「日本サッカー界の父」とも呼ばれる
ドイツ人のデットマール・クラマーを指す。
「さよなら」という
そのタイトルの意味には
本作連載前の2015年に亡くなった
クラマー氏への惜別の意味合いと
これから女子サッカーを強く牽引し
新たな未来を創り上げようとする決別の
二つの意味合いを持ったタイトルなのかと
本作を読み終えた今、感じています。
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