本日のマンガ紹介は 「青い車」です。
※上コミック画像は短編集です。
その中の短編作品の内のひとつのレビューです。
○作者 よしもとよしとも
○出版社 イースト・プレス
○掲載誌 ー
○発表期間 1996年
○巻数 全1巻
■あらすじ
10歳の頃の事故で、人より2年遅れて生きることになったリチオは、それでも「生きてることをラッキーだと思った」。大地震が起きた同じ日、地震とは関係ない場所で、恋人のあけみが事故で亡くなった。リチオは、両手いっぱいの花束を持ったこのみ(あけみの妹)と共に、青い車で海に向かう。
~ジャンル分類~
モヤモヤ小宇宙漫画
~作品要素~
世界観(world)
亡くなった恋人の妹とドライブテーマ(theme)
感情引力(catchy)
花束と青い車なんだろうこの頭を支配するような感覚は。
青い車で、花束を持って、
海に行くだけの話なのに・・。
内容は、たった20数ページの短編作品。
生きていく中のモヤモヤ要素をたくさん抽出して
パズルのようにはめ込んだような作品。
もうそんぐらいしか言えない。読んでみて下さい。
~見所ポイント~
①モヤモヤ感
誰しもが抱いてしまうだろう色々な感情や心情が
この作品に詰まっている。それもすごく綺麗に。
こんな作品は、初めて出会った。衝撃的だった。
この作品を読んでいると、色々なことを感じたり
思い出したり、恥ずかしくなったり、辛くなる。
この作品をレビューするのは難しい。
だから、この作品を読んでどんなことを思うか
それをちょっとだけ書き殴ってみる。
この作品を読んでいると感じるのは・・・
昨日まで大好きだった音楽が
大嫌いになってしまう瞬間だったり
人の不幸と自分の不幸を比べ
幸せだと思ってしまう醜さだったり
どうしようもない絶望に対して
ベロ出してふざけてみたりだったり
自分を悪い人間にしてみるんだけど
そこまでなりきれないことだったり
たった一部だけど、感じることは無数にある。
でも、「何か伝わる」ことは間違いない(たぶん)
②洗練された描写
これほどまで
「説明が少なく」「何度読んでも味がある」
という作品もなかなかない。
多くの要素が隠れている気がする。
「何かありそうで、何もない」
というような作品は、ありふれていて味気がない。
でもこの作品は 「何もなさそうで、何かある」
だから、引き込まれるように読んでしまったし
何度読んでも、まだまだ何か感じ取れる気がする。
説明が下手ですみません笑。
とにかく「読んでみる価値」ありの作品。
自分は魅了されてしまったし、
魅了させる力を秘めている作品だ。
③ラストの力
この作品のラストは衝撃的だった。
この作品には、色んな感情や葛藤が描かれていると
そう語りましたが、もし自分が作者なら、あんなラストには絶対できない。
なぜ余白を残して終われたのか。
なぜ「ごみんに」で終われるのか・・。
もうこれがわからないんだけど、すごいんです。
花束を海に投げるシーン。
そこで見知らぬおじさんに注意されるリチオ。
リチオはそこで笑うことができた。
あれは「他人には理解できない」という諦めか
「絶望的な運命に対してのべろ出し」なのか
自分はよくわからないんだけど、印象的だった。
まだまだ読まなければいけない作品だ。
~注意点~
①多くの含みを持つ
作品内には、一見、意味不明な単語が出てきたり
無駄な説明が省かれ、とてもわかりにくかったり。
5回読めばとりあえず話の筋や面白みが出てくるが
なぜかそれ以降も感じる要素が隠れているはずで
なんていうか、世界観に引き込まれていって
また気持ちが読まざるを得ない感じになる。
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「青い車」を一言で言うならば
「モヤモヤブラックホール」
何度か読んでいく中でどんどん引き込まれていく。
ここまで印象的で、頭を占領された作品もない。
たぶん、未だに、
この作品要素の半分程度しか理解してないけど
それでも、何かは伝わった。
これからも読んでいきたいと思った。
こういう作品は、自分は大好きです。
でも嫌いになることも有り得るのかも。
個人的好み度 90%
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