本日のマンガ紹介は 「blue」です。
○作者 魚喃キリコ
○出版社 マガジンハウス
○掲載誌 コミック アレ!
○発表期間 1996年
○巻数 全1巻
■あらすじ
女子高に通う3年生桐島カヤコは、ふとしたキッカケで、クラスで周囲から少し浮いた存在の遠藤雅美と仲良くなり、好意を抱くことになる。しかしその“好意”は友達としての好意を超えた、別な感情でもあった。また、遠藤雅美には中絶という理由で停学になった過去があった。
~ジャンル分類~
純粋思春期女子漫画
~要素方程式~
[女子高生]×[純粋]×[思春期]
=[深い青]×[レズ]
女子高に通う桐島カヤコは
遠藤雅美と仲良くなり好意を抱く。
しかしその“好意”は
友達としての好意を超えた感情でもあった。
桐島カヤコは遠藤雅美を好きになる。
そして、それまでは友達であった
渡辺とは距離を置くようにしたり
遠藤と仲が良い中野に嫉妬感を抱いたり
そういう純粋な気持ちから湧き出る
自分でもわからないような
「好き」という感情に悩み苦しみ
そんな女子高生の「一瞬の感情」を
綺麗にかたどった様な作品。
端的に言うなら“レズ”のお話。
ただ、そう簡単に言い切れない作品。
それだけでない事は間違いない。
物語は遠藤が夏休みに
失踪することで大きく揺れる。
遠藤が中絶の相手に会うために失踪したこと
そのことを、遠藤の友達の中野から
初めて聞くことになるカヤコ。
カヤコは遠藤に直接
言ってもらえなかったことに傷ついてしまう。
そして何食わぬ顔でカヤコの前に現れた遠藤は
カヤコにウソをついてごまかそうとするが
カヤコは事実を隠す理由がわからず遠藤を嫌う。
事実を隠す理由を遠藤がカヤコに打ち明けた時
作品のテーマが一気に溢れ出して終焉を迎えます。
~見所ポイント~
①純粋な気持ち
高校生。それも女子高という狭い空間の中で、
「恋愛」「友情」「嫉妬」「将来」「不安」etc
こういう感情が混じり合う瞬間は女性だけでなく
「思春期」という期間には誰しもがあると思う。
そういう瞬間を本作品では
「女子高」という設定のもと
「同性に好意を抱く」という
特徴で伝えようとしている。
だから、はたから見るとレズの話なんだけど
テーマはもっと純粋で綺麗なストーリーなんです。
本作品で言えば「嫉妬」という点が現れていて
「友達」に対してだったり
「恋愛」に対してだったり
そういう絶妙な感情を
特徴でもある淡白な画風で突き刺してきます。
遠藤に近づきたいと理由で
処女を捨ててしまうカヤコ。
遠藤の親友の中野に対して
嫉妬と嫌悪を感じてしまうカヤコ。
カヤコの遠藤に対する
友達としての好意を超えた異質な感情が見所。
②二つの目線
この作品。
不思議と二つの目線で大きく感想が変わる。
それは男女の違い。
自分は男ですが
正直言うとこの作品を見ていて
すごく読み心地が悪かったし
読後感は良いものではなかった
1話目は、普通の高校生活の
話なんだろうと見ていたけど
2、3話目以降、カヤコの遠藤に対する
異質な感情に気付いてからは、
二人が部屋にいるときとか手をつないでる姿とか
完全に「同性愛」的な目線でしか見れなかった。
そういう作品なんだと
そういう目線でしか見てなかった。
むしろ「男」から見れば
そういうストーリーにしか感じられないのかも。
「純粋な気持ち」で起こる好意とか嫉妬とかは
「女性目線」が強くて、女性の読後感に関しては
たぶんこの「純粋な気持ち」という
本作品のテーマを強く感じるのではないだろうか。
少なくとも本作品のテーマは「同性愛」ではなく
「思春期に抱く純粋な気持ち」で間違いない。
ケンカ以来話していなかった
渡辺とカヤコの仲直りシーン。
テーマがここで一気に溢れ出す。
女性特有の「仲の良さ」とか「嫉妬感」とか
まさに女性にしか描けないテーマで
そういう特徴と見所が強い作品だと思います。
物語終盤の言葉なんかはテーマそのものです。
「まさみちゃんが話していること
自分がまさみちゃんにしたこと
渡辺の言ったこと あたしたちは
きっとすごく純粋で それだけなんだ
それで汚いことをしてしまっても
本当にそれがいけないことなのかな」
こういう純粋な気持ち
色で例えるのならまさに本作品タイトルの
「青」「深い青」の作品です。
~注意点~
①レズ的表現と女性目線
男と女でこの作品の
見え方があまりに違いすぎて
そこが唯一注意点というか
見づらい点かもしれない。
レズ的な表現が苦手な人は注意です。
まあ性的な表現は画としては
作品内に出てこないで大丈夫ですが。
ただ、作品全体から言えば
すごく綺麗にまとまっているし
台詞、画力、演出・・・・
注意点は特に見つかりません。
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「blue」を一言で言うならば
「思春期女子の純粋な感情」
正直、男の自分から見ると
なかなかに理解し難い作品でした。
女性特有の思春期、純粋な感情。
これをどう感じるかで
評価が大きく変わる作品。
「思春期」「女子」
この二つのキーワードにおいて抱く感情を
「同性愛」をちらつかせながらも
淡々と描かれていくこの物語・展開は
非常に完成度の高い作品に思います。
個人的好み度 61%
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