マンガ紹介「HER」

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本日のマンガ紹介は 「HER」です。

○作者 ヤマシタトモコ
○出版社 祥伝社
○掲載誌 Feelコミックス
○発表期間 2009年~2010年
○巻数 全1巻

■あらすじ
 女たらしの男性客に思い渦巻く美容師、白髪のレズビアン、フツーじゃないことを恐れる女子高生、母の浮気がトラウマな地味めOL、女が嫌いな女…。オンナの本音を描き話題沸騰、全6編の連作オムニバス。(amazon引用)  

~ジャンル分類~ 
女性主人公オムニバス漫画


~要素方程式~ 
 [女性]×[内面]×[オムニバス]
=[怖い]×[闇]

女性を主人公とした
オムニバス形式のショートストーリー。

あらすじ通りのどこか内面に潜む
主人公達の心の闇を淡々と描いていく・・。

出典:コミック「HER」

全編6話で構成された本作品の
一人ひとりの主人公の
不安、愛情、嫉妬、自己嫌悪etc・・・

何かひとつは必ず共感せざるを得ない
読んでいて目を塞ぎたくなるシーンに
出会ってしまう作品です。

~見所ポイント~ 

①内面基点の物語

まずは登場する女性主人公の
内面をさらけ出すような展開が見所。

それぞれの短編には
それぞれの主人公の悩みが
それぞれのシーンで描かれる。

選ばれない、選ぶの意識を靴に例える女性
年を取る事や未来への不安に悩む美容師の女性
普通や常識に悩み始める思春期の女子高生
自分の母親の浮気が頭の片隅に残る地味なOL女子
自分にないものに嫉妬心を持ってしまう女性

出典:コミック「HER」

とにもかくにも
「女性の内面」を基点として描かれる話は
どのページを読んでも心にグサグサとくるし
作者そのものの作家性の強さがある。

②とにかく怖くて不安定

内面基点の物語なだけあって
内容が強く重く読み応えアリ。

それ故に読んでいる時も読後感も
決して良いものではない笑。

出典:コミック「HER」

それでもここまでストレートに
「不安」とか「嫉妬」とかを

女性キャラが淡々とオムニバス形式で
登場させるのってのはすごく見所です。

③男性視点のラスト

ここまで女性視点でのオムニバス形式・・
という紹介をしましたが

不思議な事に最後の短編は
男性視点の物語で幕を閉じている。

出典:コミック「HER」

それまでの「女性」という
存在、不安、嫉妬等の気持ちを描き

最後に男性視点と女性視点の
何気ない会話の中で 「女性の存在」
というものをそれとなく考える締めになっている。

決してこの作品が「女性の気持ち」だけの
独りよがりのものではなく、最後の最後に・・・

男性は主観的に女性は客観的に
感じる術が本作品にはある。

~注意点~ 

①女って怖い! 

内面基点の物語で進むので
やはり登場女性が全員怖いです笑。

怖いと言っても・・
単純に顔が怖いとか思考が怖いというよりは
何というか「無表情」です笑。

何と言えばいいか・・。怖い( ゚Д゚)笑。

②女性心理のモヤモヤ

何だろう。

男の視点からすると
本作品の登場女性の「悩み」とかってのは
共感はなかなかできないと思うし

「悩んでいるようで実は悩んでいない」というか
「答えを出そうとしない悩み」っていうか。

まあ悩みは答えが見つからないから悩みなわけで
矛盾しているんですが悩みが「曖昧」というか。

そういう部分はきっと男女の感覚で大きく違くて
もしかしたらそこを一種の「じれったい」と
思ってしまう可能性は男性読者には大いにある。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「HER」を一言で言うならば

女性内面基点のオムニバス葛藤

タイトルは英語で「HER」。
和訳をするなら彼女で「女性」を表わす。

しかし主語を表わすSHEではないのは
相手を指す客観的なSHE(彼女は・・)ではなく

自分自身や自分自身の物を表わす
つまりはHER(彼女の・・)こそ
この作品の「内面基点」にふさわしいからか。
(あくまで“彼女は”ではなく“彼女の”という)

そんな内面基点が強く
辛い内容が襲いかかってくる本作品は
普通に読み進めれば怒涛の攻撃に
目を閉じたくなるような事になりかねない。

しかし、不思議と読後感は少し清々しく
でもやっぱりしんみりしたような
ちょっと前向きになれるような感覚が
確かにあって決して嫌味じゃないんです。

これはあくまで女性ならではの
「答えを出そうとしない悩み」という
一見すると「欠点」にも感じる「曖昧さ」が
本作品の根本にあるからなのかもしれない。  


個人的好み度
 75%

( ゚Д゚)マンガ紹介一覧はこちら( ゚Д゚)


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