マンガ紹介「うみべの女の子」

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本日のマンガ紹介は 「うみべの女の子」です。

○作者 浅野いにお
○出版社 太田出版
○掲載誌 マンガ・エロティクス・エフ
○発表期間 2009-2013
○巻数 全2巻


■あらすじ
夏になっても賑わう事のない
田舎の海辺が舞台の中学生男女の物語。  

~ジャンル分類~ 
思春期少年少女日常漫画 

~要素方程式~ 
[思春期+中学男女]÷[海辺]
=[陰鬱]×[綺麗]


夏になっても賑わう事のない
とある田舎のうみべ近辺に住む

思春期の少年少女の時に綺麗で
時に陰鬱なちょっとした物語。

ストーリーとしては本当にそんなもので
世界観は狭く、登場人物も数える程。

出典:コミック「うみべの女の子」第1巻

お互いが付き合っているのか
付き合っていないのかわからぬまま

二人はお互いが持つ思春期特有の
「悩み」「苛立ち」をぶつけ合うものの
あまりに不器用で、純粋な二人は
ぎこちない関係が続いていく・・・。

~見所ポイント~ 

①思春期の少年少女

まず見所なのはこの物語が
うみべの近くの田舎町、中学校という舞台で
そこにいる少年少女の恋愛日常という
非常に狭い世界観で起きる日常にある。

少年の名前は磯辺

出典:コミック「うみべの女の子」第1巻

彼は非常に内向的で退廃的な一面を
強く持ち小梅に好意を持つものの
常に心は開かないし不安定な精神を持つ男の子。

物語後半、自殺をした兄の
かたきを取る為に暴挙に出てしまう。

少女の名前は小梅

出典:コミック「うみべの女の子」第1巻

一回は憧れの先輩と関係を持てたものの
性的な要求から逃げるように関係を絶ち
磯辺からの告白で関係を持つ平凡な女の子。

物語後半、いなくなった磯辺を
必死に探し、磯辺に告白をする。

二人の精神は非常に不安定で
純粋で、不器用で、美しい。

そういう感情が
嫌というほどリアルな舞台で繰り広げられ
本当に心を握りつぶされるような
撫でられるような感情を与えてくれる。

②エロ描写解禁!

成人誌という事もあって
浅野いにお作品で直接的なエロ描写は初?

出典:コミック「うみべの女の子」第1巻

とにもかくにも浅野いにおさんは
表情の描き方が上手いんですよね。

背景描写の完成度も合わせて、
エッチのシーンなんかはリアルな緊張感。
小梅の顔は大注目です。

③思春期ってのは

この作品では思春期特有の
「モヤモヤ」「不器用」なんていうものを
狭すぎる世界観で少年と少女に任せっきりで
そのまま放置したような展開なので笑

まったなし、綺麗ごとなし、伏線なしの
独特でストレートな読み心地がある。

この作品を読むと思春期のあの
「モヤモヤした気持ち」というのものは
どうしてあの「時期」にしか味わえず
言葉に表せない程複雑なのかと良く思う。

ふと考えてみると

「時間がありすぎて」
「世界が狭すぎて」
「悩みの答えがなくて」


これらの事が「思春期」という
特有の条件なんではないかと思うのです。

出典:コミック「うみべの女の子」第2巻

「時間がありすぎて」というのは

今回の作品で言えば磯辺も小梅も
「何かに熱中」「好きな事」などが皆無で
時間が余っている。時間が余るとどうなるか。
それは二人を見ればよくわかる。

「世界が狭すぎて」というのは

今回の作品で言えば
作品舞台そのものがそう。うみべに住む中学校。
彼らには答えを見つける術が少なすぎる。
あまりに狭い世界。

「悩みの答えがなくて」というのは

今回の作品で言えば磯辺と小梅の変わりようだ。
後半を読んでいくとすごく身勝手で
あっけらかんとした展開が続く。

出典:コミック「うみべの女の子」第2巻

離れていくような繋がっていくような
微妙な二人の関係。そこには思春期特有の
「モヤモヤ」が上手く表現されていると思う。

④はっぴぃえんど

物語序盤、磯辺の家で小梅が聞いた音楽
はっぴぃえんどの「風をあつめて」。

出典:コミック「うみべの女の子」第1巻

物語終盤にもう一度この曲が出てきて
歌詞と共に漫画はラストへ進んでいく。

出典:コミック「うみべの女の子」第2巻

土砂降りで暴風の中
磯辺を必死に探す小梅のシーンに
これでもかと全く合わない「風をあつめて」

逆に偶然「SDカードの女の子」に
出会う雨上がりの磯辺のシーンには
これでもかとぴったり合うような「風をあつめて」


Youtubeリンクを貼りましたが
聴きながらもう一度読んでも
やはり小梅の状況には合わず
磯辺には合うような不思議な感覚。

合わないんだけど
どこか合っているような不思議な気持ち。
二人の感情の差異。

そういう「矛盾」は
磯辺と小梅が持っている感情に
非常に近い部分なのかもしれない。

~注意点~ 

①浅野いにお作品では異質中の異質 

浅野いにおファンの皆様は
すでに読まれている事とは思いますが、
個人的にこの作品は、明らかに今までの
「スタイル」とは違う作品になってます。

浅野いにお節は

「どん底の絶望ありきで
かすかな光やユーモアをチラつかせる」


と、個人的に思う中で
今回はその真逆と言ってもおかしくない程

「純粋な思春期思考ありきで
ドロドロの闇や醜い心をチラつかせる」


といった感じで

事実、後半に連れ
作品は少しずつ晴れていくような
むしろすがすがしいんじゃないか
というぐらい「良い漫画」になってくる。

ここは、たぶん浅野いにお節の
「絶望」「陰鬱」を期待しているファンには
一種の違和感を感じる可能性は大。

自分は完全に「陰鬱」を期待して
浅野いにお作品は読んでいるクチなので
何だかこの作品は読んでいて物足りない・・
というか、背中がかゆくなった笑。

はっきり言う。
これは虹ヶ原ホログラフに続いて
異質中の異質作品です。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「うみべの女の子」を一言で言うならば

少年少女何が足りない?  

物語終盤、小梅は自分のデジカメの
SDカードをうみべに落としてしまう。

まるで磯辺が海辺で知らない女の子の
SDカードを拾った時の状況と被るように。

そのSDカードは、もしかしたら誰かが拾い
同じような展開が起きるかもしれない。

少し大人になれた二人はうみべを離れ
ここでSDカードを拾った少年少女はきっとまた
磯辺や小梅と同じようにうみべで思春期を過ごして
いつか大人になっていくのだと思う。

そういった意味では
タイトルでもある「うみべの女の子」とは

磯辺が持っていたSDカードの女の子でも
高校生になってうみべで笑顔を見せる小梅でもなく

これからうみべで過ごし
成長するであろう少女達を指すのかもしれない。


個人的好み度
 76%

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