本日の映画紹介は
「アイの歌声を聴かせて」です。
○原作・監督・脚本 吉浦康裕
○共同脚本 大河内一楼
○キャラデザ 紀伊カンナ
○音楽 高橋諒
○制作 J.C.STAFF
○封切日 2021年10月29日
■あらすじ
景部市高等学校に転入してきたシオンは、登校初日、クラスで孤立しているサトミに「私がしあわせにしてあげる!」と話しかけ、ミュージカルさながらに歌い出す。勉強も運動も得意で底抜けの明るさを持つシオンはクラスの人気者になるが、予測不能な行動で周囲を大騒動に巻き込んでしまう。一途にサトミのしあわせを願うシオンの歌声は、孤独だったサトミに変化をもたらし、いつしかクラスメイトたちの心も動かしていく。(映画.com引用)
~映像・音楽~
原作・監督は「吉浦康裕」
「イヴの時間」「サカサマのパテマ」など
とても面白い題材を描くアニメ監督さんで
サカサマのパテマは当ブログでも紹介済み。
個人的に応援しているアニメ監督さんです。
音楽は「高橋諒」
また本作品要素のひとつ「歌」として
AI役の土屋太鳳さんの歌声は魅力的。
音楽、歌声は素敵な見所だったと思います。
キャラデザが「紀伊カンナ」
当ブログでもマンガ紹介した
「海辺のエトランゼ」の作者さんで
キャラ作画はかなり良い雰囲気でした。
~演出・時間~
上映時間は108分。
とある出来事で孤立していたサトミのクラスに
母が製作した極秘試験中のAIシオンが転校。
シオンはサトミを幸せにしてあげると言い放ち
サトミの友人達も巻き込み大騒動を起こす。
時代設定はAIとの共存が始まる近未来。
近未来のなかでもかなり現実的な将来感で
多くの説明は無いけれど世界観はしっかりある。
後半からはAIシオンの秘密が明かされ
物語も大きく動き出し引き込まれていく。
上映時間、構成はベストなバランスでした。
~見所ポイント~
①人間とAIの共存世界
監督:吉浦康裕さんは過去作でも
「イヴの時間」でAIをテーマに描いており
本作でもAIと共存する世界観を描く。
その世界観も、かなり身近に感じるレベルで
描かれる舞台はとても引き込まれました。
(人間と見分けがつかないAIだけは飛躍だが)
②”歌声”が物語の軸となる
サトミの前に現れたAIシオンは
「歌」を歌うことでサトミの幸せを願い
またクラスの友人も巻き込んでいく。
ミュージカル要素で歌うシーンの
「不自然さ」はAIという要素で打消し
また劇中の曲や歌声もすごく良いので必見。
土屋太鳳さんはすごいなと圧巻。
またこの”歌声”は物語の「軸」となって
ひとつの「ヒミツ」として展開されていき
色々な伏線回収を重ねた良い脚本でした。
ここは過去作も共通の吉浦康裕さんらしさ。
③キャラデザと作画動画
キャラデザに「海辺のエトランゼ」作者の
紀伊カンナさんということでGoodでした。
元アニメーターという経歴もあるので
アニメ映画としてのキャラメイクは抜群。
またアニメ制作はJ.C.STAFF。
これもまたバランス良く素敵な
作画動画だったので盤石な土台でした。
~注意点~
①AI世界観について
人間とAI共存の世界観として
すごく身近でリアルな路線と思いますが
作品世界の説明や描写はあまり無くて。
これは吉浦康裕作品共通な気もしますが
もう少し作品世界観を説明・描写する
シーンや脚本は欲しいなと個人的には思う。
前半の青春パートと織り交ぜながら
この世界観設定描写にも力を入れて
後半への繋がりも見せたらなお良かった。
②ある作品にとても似ている
AIと人間という設定は
世の中に数多存在するとは思うんですが
本作品テーマや終盤のシーンが
自分の好きなある漫画に似ていて。
詳細には言及しないんですが
「アイ」「AI」「男女」「愛」「呼びかけ」
やっぱり似ている。本当に似ている。。
③超余談です。。
物語の「敵役」で登場する
サトミの母親の同僚の西城という男。
声優が津田 健次郎ことツダケンで。
ツダケンと言えば遊戯王に登場する
海馬瀬戸の声優として有名だと思いますが
物語途中の西城のセリフのひとつの
「お前はわが社の製品なんだぞ!!」が
完全に海馬瀬戸にしか聞こえなくて
ニヤリと笑いそうになったのは自分だけ?
あのセリフのシンクロは個人的に見所(笑)
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「アイの歌声を聴かせて」を一言で言うならば
「”歌”が繋ぐAIと人間の青春譚」
人間とAI共存の世界観や
数々の伏線や終盤の展開は魅力的。
キャラクター、アニメ動画、脚本構成
ミュージカル、青春、人間とAIなど・・
吉浦康裕作品は徐々に進化を遂げて
本作はキャラデザやアニメ制作も盤石で
かなりの良作として仕上がった印象でした。
見応え充分。今年トップクラスの面白さ。
5つ星評価
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