本日のマンガ紹介は 「素晴らしい世界」です。
○作者 浅野いにお
○出版社 小学館
○掲載誌 月刊サンデーGX
○発表期間 2002-2004
○巻数 全2巻
■あらすじ
心のどこかに不安や不満を抱える様々な登場人物たちの日常のドラマをリアルに描く。各回の登場人物が以降の話にほんの少しずつリンクしていく形で進んでいく、ちょっと変わった形式の短編集。(漫画レビュドットコム)
~ジャンル分類~
リンク式日常ドラマ漫画
~要素方程式~
[日常]×[リンク]×[モヤモヤ]
=[センス]×[短編]
素晴らしい世界は短編オムニバス形式。
オムニバス形式でありながら
漫画内の設定はすべて同じ街であって
登場人物たちが連鎖的にタッチして
主人公を務める。そんな感じです。
だからリンク式日常ドラマ
なんてジャンルを名付けてみました。
登場人物がそれぞれ流れるように
交代して進むこの作品・作風は
伊坂幸太郎さんの小説の
「ラッシュライフ」に似ているかもしれない。
登場人物たちをずっと遠くから覗くような視点。
そんな視点が「素晴らしい世界」で描かれていく。
~見所ポイント~
①次世代作家と言われる所以のセンス
やはりここが一番の魅力です。
作者の卓越したセンスが
漫画ににじみ出てきています。
「自分はこの地球で主役じゃないんだと気づいた」
とかなんとかそういう漠然な不安や恐怖。
これを作者の詩的な文章センスで補っていく。
それでも決して完全に腐るわけでもなく
「世界は汚い、でもいいこともあるかな」
のようにモヤモヤ感をぼやけて描いていく。
そういった一貫したテーマのようなものを
様々な登場人物達に描いていくので
非常に不思議な読後感が味わえます。
センスが際立つ、いや、にじみ出てきたという
浅野いにおワールド開始!のような作品なので
これを読んで、興味があったら
他の作品を読んでみるといいと思います。
②少しずつ完成に近づく画力
全2巻の内3分の2までは画力が足りないものの
それ以降から、得意のCG技技術活用によって
非常に高い画力の描写が垣間見ることができます。
こういうワンカット描写を見せられると
浅野いにおの世界観に引き込まれてしまう。
~注意点~
①作者のセンス
もともとこの作者のセンスや
含みを持たせるような漫画描写に
「何が言いたいのかわからない」という
嫌悪感を感じてしまう人がいるかもしれない。
本作品は作者初期作品でもあるので
一層、そういうセンスに関して
批評が出ているかもしれない。
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「素晴らしい世界」を一言で言うならば
「素晴らしくない世界」
テーマ自体が重くそして切ない作品なのに
何故タイトルが「素晴らしい世界」なんだろう。
読み終わってまず思った不思議なところ。
まあそこがまた面白いところなんですけどね。
また1巻表紙の
くまのぬいぐるみをかぶり銃を持って走る画。
もちろん短編集に登場しますが
こういうセンスがすごく良いですよね。
個人的好み度 63%
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