本日のマンガ紹介は 「ルサンチマン」です。
○作者 花沢健吾
○出版社 小学館
○掲載誌 ビックコミックスピリッツ
○発表期間 2004-2005年
○巻数 コミック:全4巻 新装版:全2巻
■あらすじ
2015年。印刷工場に勤める坂本拓郎は、今までずっとパッとしない人生を送ってきた。そんなある日、旧友の越後からギャルゲー(美少女ゲーム)を勧められるが、「現実の女が大事」と言って一度は踏みとどまる。だが、その後も彼が女に相手にされることは全くなく、30歳の誕生日、ついに大金をはたいてギャルゲー道具一式を購入する。(amazonより引用)
~ジャンル分類~
仮想AI疑似恋愛漫画
~要素方程式~
[AI]×[仮想現実]×[ダメ男]
=[怒涛展開]×[無茶苦茶]
ハゲ、デブ、素人童貞の30歳。
そんなダメ男の坂本拓郎は友人の紹介で
高精度なギャルゲーにハマり出す。
そのギャルゲーは拓郎が
想像していたものを遥かに超えていて
今まで女性との良い思い出が無かった
拓郎にとって大きな存在となり
日常生活にも支障が出る状況までに。
しかし、拓郎が手にしたそのソフトは
通常のAIゲームとは違う
特殊なAIソフトであることがわかった。
~見所ポイント~
①モテない男の悲痛な心情
本作の主人公である坂本拓郎は
容姿、性格、財力含めて良い事なし。
いわゆるダメ男の称号を得ている拓郎は
高精度AIとの出会いで人生が変わる。
まずはこのダメ男の心情、心の叫び
コミカルな自虐ネタが見ていて面白いです。
ダメ男の心情とか思考回路が
ものすごくリアルで丁寧で完成度が高い。
扱っている内容は淡々に描けば
相当な陰鬱なものに成りかねない。
しかし主人公、登場人物含めて
非常に個性的で爽快で陰鬱さが無い。
こういうアンバランスさというか
凹凸感は読んでいて知らぬ間に心動かされます。
また拓郎の性癖、衝動、願望は
ものすごく描写が濃く男としては否定しきれない!
②高精度AI
本作の一番の魅力は
この「高精度AIソフト」の設定の妙です。
近未来な時代背景で
この高精度AIギャルゲーの緻密な設定はリアル。
作品内でもそのギャルゲーの仕組みや
世界観設定が細かく描かれます。
モテない男の願望が
強く求められるであろう「仮想世界」では
オプションの機器さえ購入すれば
疑似セックスまでもが可能。
電気店でボディスーツやアソコにつける
機器を選んでいる描写なんかも面白い。
そんな痛々しいモテナイ男と高性能AI描写が
絶妙に物語に練り込まれていきます。
③AIソフト月子の存在
拓郎が出会ったAIソフト月子は
拓郎にとって純粋無垢な存在で
次第に彼女に惹かれていき
無くてはならない存在になりつつある。
この月子ちゃんのかわいさは異常。
男性の心を鷲掴みにする事間違いなし。
このあたりはもう作者の理想や性癖が
かなり色濃く投影されている感が強い笑。
物語中盤。このAIソフト月子の
重大な事実がわかるにつれて物語は動き出す。
その後のはちゃめちゃ感やドタバタ劇は
是非見て欲しい。ノンストップストーリー!!!
~注意点~
①はちゃめちゃなトンデモ展開
前半までの衝撃的な展開や
ドタバタ劇から一旦ゆるゆるな物語に変わり
またまた今度は壮大な事件に巻き込まれて
最後は「え?」と終わります。
明らかに「計算された物語展開」ではなく
構成力としては疑問が残るかも。
まあそれがこの作品の良さなんですけどね。
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「ルサンチマン」を一言で言うならば
「疑似恋愛はちゃめちゃ冒険」
緻密な高性能AIソフトやモテない男の心情
欲望垂れ流しストーリーが魅力。
ルサンチマンとは哲学用語で
「嫉妬や憎悪を内心に潜ませる」
という意味を持つ。
本作品で言えば拓郎の数々の欲望
世間への妬みなんかがそうだ。
その「ルサンチマン」は
高性能AIによって癒され
軽減はするかもしれないが
ふと、仮想世界から抜け出せば
現実に舞い戻り辛い世間がやってくる。
「モテない男」と「疑似恋愛」を
うまく物語にかけ合わせながら
作者特有のドタバタ感と熱さで
そのまま突っ走ったような作品。
すみません。自分はこの作品大好きです。
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