本日のマンガ紹介は 「無頼な風 鉄」です。
○作者 福本伸行
○出版社 日本文芸社
○掲載誌 競馬ゴールド
○発表期間 1990-1991
○話数 全7話
■あらすじ
浅沼厩舎に所属する騎手、久我井 鉄雄は調教師の浅沼から八百長試合を依頼されるものの、それを無視し、口論の末に厩舎を飛び出してしまう。やるせない気分で地方競馬を見物していた鉄雄は、競走馬バロンイーストと出会う。騎手を振り落とし、それでもなお走り続けようとするバロンイーストの姿とその俊足に惚れ込んだ鉄雄はバロンイーストに騎乗することを望むが、バロンイーストを見限った馬主は畜殺を決定していた……。(wikipedia引用)
~ジャンル分類~
競馬場舞台の日常漫画
~要素方程式~
世界観(world)
競馬場テーマ(theme)
競馬批評&メッセージ引力(catchy)
福本先生レア題材「アカギ」や「カイジ」などで
有名な福本伸行先生の作品歴のなかでも
おそらく唯一無二の世界観で
描かれるマニアックな部類の本作。
舞台は競馬場。
騎手をしている久我井 鉄雄を中心に
競馬に対しての作者の考えや批判
また、福本節とも言えるメッセージ性を
秘めているのが特徴と言えるでしょう。
基本筋としてはあらすじにも書いたとおり
暴れ馬バロンイーストの才能に気づき
それを乗りこなしていく主人公の鉄雄が
競馬に関する意見や批判
その他ちょっとした
人間関係を中心に進んでいきます。
「競馬ゴールド」って雑誌知りません笑。
まさかこんな雑誌に漫画を書いていたとは・・。
作品集を見なければ絶対知る事はなかった笑。
~見所ポイント~
①競馬に対しての考え
やはり主人公である久我井 鉄雄が
度々口にする「競馬というギャンブル」について
まあ福本先生の代弁なんでしょうけど
批判の視点が多くなかなか心動かされます。
わりかし競馬の勉強にもなります。
番組で来たアイドルたちに
競馬の現実を一括する鉄雄。
一番好きだなぁこの場面笑。
でも競馬の雑誌に「競馬の批判」を
描いてもいいんですかね?笑。
ちょっとそこは引っかかりますが・・。
とにもかくにも舞台は競馬場であって、
競馬に対する批評などはやっぱり見所で。
また「馬」に対する鉄雄の言葉に
心動かされる点も見所です。
鉄雄はなかなか粋なキャラクターです。
②福本作品で動物登場!!
競馬の話などは案外
福本先生の作品内ではよく出てきますが
ここまで動物をきっちりと
描いた作品はなかなかありません。
これは福本ファンなら見所?なのかも。
脱走したバロンと対峙する鉄雄。
ここはなかなか好きなシーンだった。
同じような顔のキャラに飽きてくるんでね・・
「動物」が出てきたらなんか
お得感を感じたのかもしれません笑。
もう初期作品は特に同じ顔ばかりですから笑。
③出た!メッセージ性
本編ではほとんどが「競馬に対する批判」
のような視点で描かれますが
物語後半はどうにも「作者の人生観」とか
「メッセージ性」が色濃くなってきます。
作者作品歴で言うならば
「天」にも良く似ている展開だが
よくよく全体的に見ると・・
最初は競馬の話ではあったのに
最後の方には何故か作品テーマ自体が
変わってしまう現象になっています笑。
例えば第5話。
「アッシーくんの賭け」という題で
わがまま女に振り回される男に鉄雄が
その男を目覚めさせる賭けを提案するんです。
それは女にコートを
買ってあげるための100万円を
全額単勝で鉄雄が騎手を務める
「バロンイースト」に賭けるということだった。
倍率5、3倍。そしてこのコマ。
どうですかね?この話・・・
全然競馬に関係ないと思いませんか?笑
もちろん人間の醜悪・性悪説的な
表現や台詞にはパワーは感じますけど。
作品全体の構成には問題を感じますが、
こういう「不器用」なところも福本先生の
初期作品としての魅力でもあるんですが笑。
~注意点~
①作品全体のバランス
先に挙げたとおり
話全体が謎の展開になっています笑。
始めは誰が見ても
「競馬」に関する軸で読み進めていたのに
5話以降、舞台は変わらずも
最後は「競馬を舞台にした人生論」のように
作者の描きたいことを描いちゃった感じに笑。
作品全体を通すと
不自然に感じることもあるかもしれませんが
まあそこは全7話ですし
おおめに見てやってください笑。
②○○発見!?
やはり初期作品は
似たような「お顔」が次々と・・笑。
え!?市川さん!?笑。
(知らない方はアカギのマンガ紹介へ)
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「無頼な風 鉄」を一言で言うならば
「バロンイーストと鉄雄の生き様」
畜殺されそうになった
暴れ馬のバロンイーストを
鉄雄が乗りこなして勝利を重ねていく。
作品全体のバランスで見ると
テーマがぶれぶれなも気もしますが
福本先生の初期作品の中では
雑誌が「競馬ゴールド」
ということもあってかなり異質作品。
福本先生作品歴のなかでも
おそらく指折りのマニアック作品なので
面白いかどうかは各自判断でお願いします。
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