本日のマンガ紹介は 「どうにかなる日々」です。
○作者 志村貴子
○出版社 太田出版
○掲載誌 マンガ・エロティクス・エフ
○発表期間 2002-2004
○巻数 全2巻(新装版 みどり・ピンク 全2巻)
■あらすじ
「敷居の住人」「放浪息子」など代表作を描く志村貴子による恋愛オムニバス短編集。
~ジャンル分類~
恋愛オムニバス短編集
~要素方程式~
[多種]×[性]×[多様]
=[痛み]+[愛]+[日常]
「敷居の住人」「放浪息子」など
代表作を描く志村貴子先生の恋愛オムニバス。
2020年アニメ映画化。
これを機に志村貴子先生作品を
読む方もいるかもしれません。
恋愛模様を描いたオムニバス形式で
基本的に1話完結型ですが、一部では
キャラや世界の繋がりがある場合もある。
志村貴子先生の独特なテンポとセリフ
何より本作品は志村先生特有の「性」の部分が
多種多様で描かれていく珠玉のオムニバス。
BL、百合、近親、従妹のお姉さん・・
はたまた幽霊など、どれもクセのある設定は
見たことの無い恋愛模様が描かれる「日々」
~見所ポイント~
①多種多様な「性」
志村貴子先生と言えば個人的には
静かなテンポと独特な性が頭に浮かぶが
本作品は作者作品内でも直接的な「性」は多め
また、多種多様に描かれる「性」も見所。
お互いがフラれた「元カノ」を持つ女性二人が
元カノの結婚式をきっかけに出会い恋に落ちる
scene5 「えっちゃんとあやさん」
従姉の年上お姉さんがAV出演をしていて
同級生の彼女とお姉さんに心揺れる小学5年生
scene8 「しんちゃんと小夜子」
描かれる恋愛模様の種類は多彩で
BL、百合、近親、年上お姉さん、双子・・
その多彩さは本当に面白く心動かされる。
個人的にscene8 「しんちゃんと小夜子」と
続編のscene10 「みかちゃんとしんちゃん」は
作品内でも珠玉のストーリーかなぁと。
小学5年生にして彼女持ちで
従姉のお姉さんがAV出演していて居候
彼女のみかちゃんは年上お姉さんにやきもき
小学5年生という「性」の多感が始まる時期に
AV出演している従姉の年上お姉さんが居候という
確実に性癖が歪んでしまいそうな笑
そんな設定の妙は
独特なセンチリズムも相まって
すごく面白いし引き込まれる。おススメ。
②間合いとセリフ
志村貴子先生の独特なテンポやセリフ回しは
やはり一読して味わうしか伝えきれない魅力で
言葉や説明は限りなく少なく
登場人物それぞれの間合いやセリフが
個人的には職人芸に感じていて好き。
例えばscene5 「えっちゃんとあやさん」で
いい感じの雰囲気の途中のこの台詞はすごい。
「頭じゃま?」
なかなかこの台詞のリアル感は引き込まれる。
あとはscene4 「澤先生と矢ヶ崎くん」
先生と生徒のボーイズラブなんですが
生徒がふと先生の後姿を眺めてのこの台詞。
「先生 首きれいですね」
好きな人に注目してしまう視線の向け方。
とにかくこの間合いやセリフ回しは見所で
どのエピソードでもその職人芸は垣間見れる。
~注意点~
①多種多様で淡々とした性
もともとの作風が独特なテンポなので
描かれる「性」の直接的で冷たい印象は
ちょっとドライに感じてしまう面はある。
またここで描かれる性の「多彩」さもまた
独特で淡々と描かれる模様は読みやすくはなく
ライトに読める部類ではないので注意。
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「どうにかなる日々」を一言で言うならば
「どうにもならない性」
多種多様な「性癖」が描かれる本作品は
本能的で直接的で描かれる場面だけみると
「どうにもならない」一瞬が描かれるが
実はその部分以外に目を向けると
誰しもが感じる共感性や心情を強く感じ
「どうにかなっている」登場人物たち。
その「異質」と「共感」の高低差が
リアルと相まって描かれる登場人物達の
どうにもならない姿と
どうにかなっている日常
タイトル「どうにかなる日々」
志村貴子先生珠玉の恋愛オムニバス。
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