本日のマンガ紹介は
「あしたのジョー」です。
○作者 原作 高森朝雄 作画 ちばてつや
○出版社 講談社
○掲載誌 週刊少年マガジン
○発表期間 1968年~1973年
○巻数 コミック全23巻 文庫版全12巻
■あらすじ
東京・浅草山谷のドヤ街に、ひとり現れた矢吹丈は、ドヤ街で飲んだくれている丹下段平と出会う。様々なケンカや騒動を起こすジョーの天性の才能に惚れた丹下段平は、ジョーをボクシング選手にしようと奮起した。しかしそんな気はないジョーは、ケンカ、詐欺罪、多くの騒動を起こし、少年院に送られてしまう。
少年院に入ってしまっては、さすがにボクシングを教えることはできないと、丹下段平は一度は絶望するも、ジョーにハガキを出す。そのハガキのタイトルは「あしたのために」。
一度はジョーも興味を示し練習するも、「外にでられなきゃ意味は無い」と、それ以上練習することはしなかった。しかし後に少年院で出会う「力石徹」によって、ジョーはボクシングを始める決意をかためることになる。
~ジャンル分類~
孤高のボクシング漫画
~作品要素~
世界観(world)
荒れたドヤ街テーマ(theme)
ライバルとの死闘引力(catchy)
孤高の主人公ジョー
ドヤ街の暴れん坊から少年院へ送られ
そこで出会った力石との戦いのため
ボクシングにのめりこんで行く矢吹丈。
数々の名勝負には 危機迫る減量や
様々な人間ドラマが交じり
非常に人間ドラマ色が強いボクシング作品。
さらには、現代のスポーツ漫画にあるような
「友情」「恋愛」「爽やか」
のようなものは一切ない「孤独」の主人公が
真っ白な灰になるまで燃え尽きる作品なんです。
~見所ポイント~
①いつまでも孤独な主人公
主人公ジョーには、現代のスポーツ漫画にある
友情・恋愛・爽やかのような要素が
ほとんど描かれていない。
描かれていないというかジョーが見向きもしない。
個人的に印象的だったのは
密かに想いを寄せる紀ちゃんと
孤独なジョーのあの夜中の二人の会話シーン。
(このシーンがあのラストを生むきっかけにも)
たぶんここで
紀ちゃんとジョーには壁が出来上がった。
最後の背景が真っ黒で一人立たずむジョーの姿。
紀ちゃんの後姿を見つめるジョーはすごく印象的。
まさに一匹狼の主人公が ひとつの目的のもと
勝利を目指していくところに魅力がある。
それは両親がいない設定から始まり
そもそもボクシングというものが
孤独であることにも際立つ要素がある。
そういった孤独な主人公
矢吹丈の魅力は際立って現れている。
そこがまずこの作品の魅力だ。
②人間ドラマが魅力
ボクシング漫画として強烈なイメージがあるが
意外にもドヤ街での少年少女達とのストーリー
数々のライバル達との出会いと別れ
紀ちゃんや白木葉子との関係などなど・・
人間ドラマが強く描かれていて非常に良いです。
こういう人間ドラマがしっかりと描かれているから
ボクシングや日常のシーンなどの感動も倍増して
物語として素晴らしいものに感じることができた。
孤独なジョーが時折見せる
笑顔やドラマは魅力が倍増する。
③数々の名勝負、名キャラクター
有名なライバル力石徹やカーロス・リベラ
世界チャンピオンのホセ・メンドーサなど
数々の名勝負と名キャラクターは感動的。
全部紹介したいぐらい。衝撃的で感動的です。
個人的にはカーロス・リベラが
最高に好きなキャラ。
カーロス・リベラ戦後の
ジョーのあの顔が忘れられない。
④ちなみに余談ですが・・
もともとこの作品のラストは
「真っ白に燃え尽きる」とは決まっていなかった。
ということは非常に有名ですが
原作者の最初の考えていた案は
「リベラとジョーが、ボーっと空を見上げる」
というものだったらしい。
作画担当のちばてつやさんがそのラストに反発し
その後色々あってあのラストになった逸話がある。
まあ先ほど載せた紀ちゃんとジョーのシーンで
ジョーが「真っ白に燃え尽きる」と言っていますが
これはラストシーンを考えていての台詞ではない。
ラストシーンを悩んでいたちばてつやが
ある人(忘れましたw)に
二人が話すシーンが以前ありましたよ!
と言われたことから
あの伝説の名シーンが生まれたという。
偶然だったということには驚きです。
~注意点~
①スポーツ漫画として
見所でもあるジョーの「孤独」ですが
いわゆる現代のスポーツ漫画の典型でもある
「仲間」「友情」などを期待すると裏切られる。
ジョーは誰の手も、誰の意見も聞きません。
最後の最後まで本当に孤独な主人公には驚く。
あるのはライバル、拳闘のためだけに・・・。
ジョーは何気にいいやつだろう・・
とか思っていると 意外にそうではなく
スポーツ漫画の主人公っぽくないです笑。
ジョーは本当に暴れん坊です。
プロテストで相手選手をリング外に吹っ飛ばしたり
仲間もぶん殴ります。丹下もぶん殴ります笑。
そこは一応覚えておいた方がいいかも。
思ったより凶暴で怖いですジョーは・・・。
②ボクシング漫画として
この作品の見所はボクシングシーン以上に
「人間ドラマ」の演出にあると思っています。
そのためボクシングシーン自体が面白いのか
と言われると断言はできず微妙かもしれない。
もちろん迫力ある画力や演出には驚かされたけど。
特に試合中のボクシングの解説には
ちょっと納得できない部分が多かったです。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「あしたのジョー」を一言で言うならば
「あした勝ち取るボクシング」
どこまでも孤独な矢吹丈が
ドヤ街でみんなのドンチャン騒ぎを
ぼんやりと眺め寝静まったみんなをよそに
ひとり声を押し殺しながら布団で泣くシーン。
幸せを初めてかみ締めるシーン。
あのシーンは、本作品の中でも心打たれる場面。
そしてこれほどまで孤独だったジョーが
白木葉子にグローブを渡すシーン。
これもまた「あしたのジョー」の名場面。
とにもかくにもいい作品だった。
ボクシング漫画としてではなく
絶大的に主人公や登場人物に魅力があった。
ちなみに、かの有名な「立つんだジョー」は
ほとんど作中シーンに出てきません笑。
個人的好み度 84%
コミックの品揃えが世界最大級の電子書店!
約9000作品の無料読み放題コーナーも充実!
電子書籍で購入なら《ebookjapan》がおススメ
コメント