本日のマンガ紹介は
「ボーイズ・オン・ザ・ラン」です。
○作者 花沢健吾
○出版社 小学館
○掲載誌 ビッグコミックスピリッツ
○発表期間 2005年~2008年
○巻数 全10巻
■あらすじ
妄想ばかりの三十路目前、超等身大ダメ男・田西敏行、27歳は玩具を取り扱う会社に勤務している平凡な青年。職場の飲み会で憧れの後輩・植村ちはると初めて話をし、二人の仲は徐々に進展していくが、残酷で不条理な現実の前に翻弄される。
~ジャンル分類~
遅咲き青春奮闘漫画
~要素方程式~
[遅咲き]×[恋愛]×[非モテ男]
=[無茶]×[苦茶]
27歳、彼女無し、平凡社員・・・・
この作品の主人公である
田西敏行は三十路に近づいていく中で、
「何もしてこなかった自分」に対しての
憤りを抱えていた。
そんな中、密かに想いを寄せる
後輩のちはるちゃんとの接近から、
田西敏行のこれまでにない青春劇が始まっていく。
基本的にはあらすじで大方予想はつくように、
「ダメ男の遅咲き青春漫画」
といった説明ができる作品です。
そして、「何もしてこなかった自分」に対して、
「大好きな女性の為」をベースに
突き進んでいく主人公が魅力。
全10巻のうち
前半は植村ちはるちゃんとのストーリーで、
後半は、ボクシングジムに通う大巌花という
二人の女性との出会いに分類できます。
~見所ポイント~
①突き進む田西敏行
青春時代を全く何もなかったように
生きた27歳の主人公は
憧れの後輩のちはるちゃんとの接近から
ようやく青春という部分に
真正面から真剣に突き進んでいく事になる。
この作品の一番の魅力は
「何もしてこなかった人間が
何かに夢中になって成長を遂げる」
というようなものでは決してなく笑
「何かに夢中になって無理に突き進んでも
報われるわけではないんだよ」
という、非常に悔しく
もどかしく、後味の悪さにある。
これはもう見ていて辛い。
この作品では、主人公のその悔しさは
「パンチ」を「敵」にぶつけるという
わかりやすい構図で物語が展開されていく。
前半の植村ちはるちゃんとの物語では
ちはるちゃんを捨てた青山という男性に
果たし状を申し込み
近くの公園での決闘にて挑戦する。
後半の大巌花との物語では
花を苦しめる源という男のケンカ対決で挑戦する。
普通の漫画作品ならきっと
主人公は死闘の末に敵を倒すのがセオリーだけれど
この作品ではどうなるか。
そこは是非確認をして欲しい。
とても見ていて辛い展開。
②強烈な植村ちはる
全10巻のうち前半は
植村ちはるちゃんとの恋愛物語が中心です。
八重歯を気にする
屈託のない笑顔のちはるちゃんは
少し小悪魔的な要素はあるものの
何かすごく男心をくすぐる要素を
兼ね備えていてすごく魅力的です。
ここは作者の理想像が
すごく投影されている気もしないでもないですが
植村ちはるちゃんの魅力はやっぱりすごい。
でも後半の扱いは・・・・笑。
③ボクシングトレーナー大巌花
物語後半からは、ボクシングトレーナーの
花という女性との話がメインに。
まあ色々な事がありすぎて笑
田西はボクシングの本格的な修業を積むんですが
その花という女性に好意を抱いて
前半同様に突き進んでいく事になります。
それが報われるか報われないかは別として・・・。
この花という女性は耳が不自由で
ボクシングジムのトレーナー兼
美術のヌードモデルも行っているなど
非常にアクティブな生活をしている。
この花という女性も
すごく実直で芯がぶれない強い女性であり魅力的。
④5巻まで見ればそれで良い
とりあえず5巻まで読めば
あとはもういらないかもしれない笑。
この作品の本質というか
テーマがそのまま垂れ流しに描かれている汗。
どうしてもここは言っておきたいので
ネタばれですが書いちゃいます。
ちはるちゃん編ラストのシーン。
自分を振った男性の青山と
自分に好意を持つ田西がケンカをする。
そのケンカを止めて欲しいと思いつつも
ちはるは田舎に帰る為に電車に。
ホームから電車に乗る瞬間
傷だらけの自分に好意を持つ田西が目の前に登場。
こんな劇的かつ漫画のような
シーンが訪れたら、もう後は二人は・・・
と、「漫画を見慣れた読者」は
そう思ってしまうかもしれない。
ただこの漫画は
「突き進んだって上手くいくとは限らん」
という作品のぶれない軸がある。
この後の二人の駅ホームでの数コマは
かつて感じた事のない衝撃シーンだった。
あんなホームでのシーンは
今後見ることはないかも。ここまでは必読です笑。
~注意点~
①報われない、報われないよ
何をやってもダメな主人公が
努力をして奮闘して成功する。
こんな部分は漫画として非常にセオリーで
ある意味では読者もそこを期待している。
ただ現実というものは
「漫画のようには上手くいかない」
というのもセオリーだ。
そういう部分を一巡してきて
「漫画のように上手くいかない」という部分を
「漫画で描いてみました」というような印象が
非常に強く感じた本作品。
この報われなさ、悔しさ、浅はかさ等
見ていて絶妙にすっきりしない。
後味の悪さとか気持ちの落胆に関しては
ものすごく衝撃があるので注意。
②物語の構成
「報われない主人公」に
とことん焦点を絞っていますが、
所々の物語の進行や漫画の8割が
ボクシングになりつつある構成とか笑
まさに主人公田西の生き様そのままで
物語自体も進んでいくので読みづらい。
展開が読めないというか
掴みどころがないというか構成には疑問。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ボーイズ・オン・ザ・ラン」
を一言で言うならば
「報われぬ男とわからない女」
どう生きれば正解なのか
何が成功なのか、女は何を考えているのか。
遅咲きの青春劇は
見ていて爽快、見た後は後悔。
後味の悪さは一級品。
植村ちはる、大巌花など、女性群もどこか
ネジがずれているがすごく魅力的。
読んでいる最中はすごく夢中になれるけど
読んだ後は絶妙に後味が悪い。
それでもやっぱり「突き進むダメな主人公」には
多くの人が共感できる・・かは疑問?
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