本日のマンガ紹介は 「デビルマン」です。
○作者 永井 豪
○出版社 講談社
○掲載誌 週間少年マガジン
○発表期間 1972-1973
○巻数 全5巻 愛蔵版全1巻(KCデラックス)
■あらすじ
純粋な心をもつ少年「不動明」は、同級生「牧村美樹」との楽しく平和な生活を過ごしていたが、ある日親友「飛鳥了」から人類が栄える前に「デーモン」という種族の存在があったことを知らされた。そしてそのデーモンは、今も南極の氷の中で人類を倒すために眠っていると言う。
デーモンの特徴に「合体」がある。彼らデーモンは、様々な生物の能力を得ることも、姿・形を変えることもできる。そこに目をつけた飛鳥了。彼は人間にデーモンを寄生させ、精神は人間、身体能力はデーモン、通称悪魔人間「デビルマン」としてデーモンを倒す計画を立てていた。
しかし、デーモンの合体後、人間の精神を保つには純粋な精神が必要。仮にデーモンとの合体で精神まで乗っ取られれば、デーモンとなり敵を増やすことになる。そこで不動明の純粋な心に期待をしたと言う飛鳥了。親友の信頼を得た不動明は勇者アモンとの合体に成功し、ここにデビルマンが誕生した。
~ジャンル分類~
悪魔人間SF漫画
~要素方程式~
[悪魔]×[人間]×[戦い]
=[生物の価値]×[哲学]
「人間」と「悪魔」という両面を持つ主人公が
「人間とは?」「生き物とは?」という
大きなテーマに向かって様々な葛藤を描く
超ド級展開のSF作品です。
要約をすると
「人間」「悪魔」「デビルマン」という構図で
生物の価値を問う物語が進んで行きます。
ひとつだけ断言できるのは
「人間と悪魔の両面を持つ主人公」が
「悪魔も同じ生物だ」とか「人間は悪者だ」とか
そんな陳腐な結論を出す漫画ではないこと。
生物価値を問うテーマで言えば
「寄生獣」が有名だと思いますが
内容は似ていながら結論は大きく違います。
この寄生獣と比較すると面白いかもしれません。
~見所ポイント~
①画力があるということ
1970年代といったら相当古い漫画であると
誰しもがそう思うと思います。
(2020年現在でも50~60代の人が世代?)
画風は古臭い印象は否めないし
やっぱり飽きてしまうかもしれない。
しかしこのデビルマンは、
漫画としての構図はすばらしいと思う。
イレーヌとの壮絶な戦いの中での1コマ。
敵にも敵の愛があることを知ったシーン。
人間を取り込んだジンメンに対して
幼い子供ごと一撃を喰らわす衝撃的なシーン。
イレーヌや人面魔獣のシーンは本当に秀逸。
驚くシーンや迫力ある場面には感心すると思う。
②怒涛の展開とテーマ
本作品最大の見所。
生物の価値を問うこのデビルマンの
怒涛の展開とテーマに対する大きな結論が
たった5巻に詰まっている濃密さだ。
これほど内容を濃く描きながら
しっかりとした終焉を迎えたのには圧巻。
本当にすごい作品としか言いようがない。
デビルマンを語るに「価値観」という視点は
外せないし、簡単には説明できない壮大さがある。
人間・悪魔・デビルマンという
3要素以外に「もうひとつの要素」が登場し
一気に漫画作品としての終焉が近づきます。
人間の側で
悪魔の側で
デビルマンの側で
もうひとつの要素の側で
すべての「視点」で物語りは語られ
そして「視点」は消滅し
また再築されて読者に叩きつける。
是非主観と客観をフルに使って
物語を楽しんで欲しいと思います。
~注意点~
①残酷で絶望的な描写
これほどまで
残酷で絶望的で衝撃な演出はなかなかない。
もし「生物の価値」というテーマにおいて
「感動的な結論」「涙溢れる場面」など
生ぬるい期待をしていると裏切られます!!
怒涛で過激だ。
②グロテスクな描写
結構、残虐シーンが多いです。
特に後半はスプラッタ表現も多いので
苦手な人はご注意ください・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「デビルマン」を一言で言うならば
「被害者から加害者に・・」
実はこのセリフこそ
デビルマンのテーマに対する
答えなのかもしれない。
こんなに盛りだくさんの内容を
全5巻で済ませてしまうのもすごいですが
「すべての生物側」の視点で
次々に消滅・再生される視点で
このデビルマンを見てみてください。
SFマンガのなかでも指折りに入るおススメです。
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