本日のマンガ紹介は 「鈴木先生」です。
○作者 武富健治
○出版社 双葉社
○掲載誌 漫画アクション
○発表期間 2006-2012
○巻数 全11巻
■あらすじ
普通の公立中学校の普通の担任
鈴木先生の「考え尽くす」学園物語。
~ジャンル分類~
超濃密思考学園漫画
~要素方程式~
[濃密]×[変人]×[劇画]
=[思考]×[思考]×[思考]
あらすじでは到底説明がつかない程
普通の学校の普通の先生の学園物。
中学校の担任の鈴木先生は
日々の学園生活の中での問題
生徒との触れ合いの中で
自分自身の成長や
また生徒たちへの教えを
展開していくのが基本的な流れ。
ただひとつ。ただひとつだけ。
本作品が「異質」なのは、鈴木先生と生徒達が
どこまでも「考え抜く」姿なんです。
これほどまで「考える」漫画はなかなかない。
~見所ポイント~
①小さな事を深く考え抜く
何と言ってもこの作品の魅力は
「考え抜く」という「姿勢」である。
この作品で度肝を抜かれたのは
物語序盤に出てきた話で
「嫌いな人が多い給食の酢豚を
メニューから外すかどうか」
という、一見どうでもいいような題材に
これでもかと真剣に取り組む場面を見てから笑。
本作品では
不良だった生徒を
あるきっかけで助け
絆が結ばれる
という場面とか
外見は真面目な生徒の
‘心の闇’に気付いて問題に挑む
という場面とか
そういう「ベタ」は描かれない。
たぶん、今までの「学園もの」という
ベタや基本構造は全く描く気がない。
これは本当にどこのページを見てもそうで
ここは是非読んでその「異質さ」を感じて欲しい。
②大きな事はサラッと進む
もうひとつ。
小さな事にこれでもかと
「考え込む」面白さと裏腹に
劇的な内容や中学生には
抱えきれないような大きな問題に関しては
逆にどんどん登場して
非常にサラッと作品内で繰り広げられていく。
小学校4年生の女の子と
性行為をしてしまった中学男子とか
セックスを生ですることの
道徳的問題定義をクラス全体で話し合うとか
これまた衝撃的な内容が
次々と平然と担任、生徒が話し合う(;’∀’)
もう何なんでしょう。本当驚く。
③大人びた生徒
本作品に登場する中学生徒達は
間違いなく「リアル」ではない。
もちろん「考え抜く」という
姿勢だったり幼稚な思考だったりは
少しは「中学生」なのかもしれないんですが
いや・・やっぱりオカシイ。
鈴木先生が
「俺は何歳の男と話をしているんだ!」
と焦るほど笑
本作品に登場する生徒達は
すべての人間が「大人びている」。
いや、大人びているというよりは
「精神性」が高すぎるんです笑。
この作品の土台が「超濃密思考」なので
確かに登場人物すべてが、思考を受け止める器
精神性が高くないと成り立たないから。
この「濃密思考」「精神性の高さ」などが
「中学生」に全く染み込まず「アンリアル」
となって滲み出てくる「違和感」。
この違和感が独特の雰囲気を出している。
④変人達
ストーリーの学園という舞台以外の
登場人物、内容、セリフ、展開すべてが「異質」。
登場人物は鈴木先生も生徒も然り
同僚の担任達も異質です。
特に後半になってくると
「色んな壊れた人間」が登場するので見所笑。
それは主人公でもある鈴木先生も例外でない。
この男も、時折見せる危ない発言や思考は
見ていて笑いを誘います笑。
~注意点~
①怒涛の文字量
とにかく鈴木先生と生徒達が
「考え抜く」ものですから
文字量が半端ないです汗。
②後半の怒涛の展開
これは客観的に見て注意点。
後半になってくると物語がおかしい方向へ笑。
まあすべてがぶっ飛んでいるので
これまたそれもいいのかもしれないけれど
そう思って読んでみても
やはり後半の展開は何だかわからない可能性大。
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「鈴木先生」を一言で言うならば
「タイトル以外はすべて異質」
タイトルは鈴木先生。
これほどまで普通な平凡な
タイトルもなかなかない。
それでも一度読み進めてみれば
その「異質さ」と「劇的展開」に驚く。
「小さな事」にこれほどまで
「大きく」考えた作品はなかなかないし
「大きな事」にこれほどまで
「小さく」入り込んだ作品もなかなかない。
すべてが基本構造のレールから外れていて
それでもそこで展開される「論議」や「結論」は
「正しい」「正しくない」という領域を超えて
ただただ圧倒される。本当にすごい。
この「異質」さは是非読み進めて欲しいです。
本当に面白くてどんどんと読み進めてしまった。
異次元濃密思考異質作品!!
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