本日のマンガ紹介は 「EVIL HEART」です。
○作者 武富智
○出版社 集英社
○掲載誌 週刊ヤングジャンプ
○発表期間 2005-2010
○巻数 全6巻
■あらすじ
中学校の入学式会場でウメは上級生と乱闘事件を起こし、早速問題児として目をつけられる。職員室に迎えに来たのは父親でも母親でもなく、高校生の姉マチ子だった。ウメとマチ子は家庭の事情で祖父からの仕送りで2人だけで暮らしていた。
姉の涙にもう問題は起こさないと誓ったウメだったが、乱闘相手の上級生石関がお礼参りに現れる。2対1の乱闘の最中、上級生のポケットからこぼれ落ちる1本のナイフ。それを拾い上げたウメの眼に狂気が宿る。両者に割って入ったのは奇妙な外人ダニエルだった。ダニエルはナイフを持ったウメを不思議な技で投げ飛ばす。「合気道。素敵だろ?君の国の武道」ダニエルの言葉によってウメの荒ぶる魂に変化が訪れる。(wikipedia引用)
~ジャンル分類~
合気道ホームドラマ漫画
~要素方程式~
[暴力]×[家庭]×[合気道]
=[少年]-[暴力]+[成長]
週刊ヤングジャンプ連載だった
「合気道」を題材にした作品です。
「合気道」を使うキャラ自体も多くないなか
純粋にテーマが「合気道」の漫画は少なく
また格闘技系ではなく「ホームドラマ」色が強く
なかなか珍しい題材の漫画かもしれない。
かつて兄による家庭内暴力の末
母親が兄を刺してしまう事件から
家庭崩壊した正木家の末っ子のウメが
姉のマチ子や学校で出会う英語教師であり
合気道を学ぶ「ダニエル」との出会いから
自身の暴力性、家庭崩壊、兄の復讐・・・
悲痛な過去や現在に悩むウメが合気道を通して
過去への決別、成長を描くホームドラマです。
3巻で一度打ち切りにより終わり
その後「氣編」「完結編上下」の+3巻の
全6巻で完結した作品になります。
~見所ポイント~
①ひとりの少年の成長譚
本作品主人公のウメは
キレやすくケンカっ早い性格からか
周りからも浮いた存在の問題児。
複雑な家庭環境から姉のマチ子と
二人暮らしをするなかでウメは
ふとしたきっかけで目にした
「合気道」への出会いや学びから
ひとりの少年として「成長」を魅せていきます。
暴力的で気性が荒いウメですが
合気道という「武」についての理解や
「相手無しでは成り立たない武道」という
ウメに足りなかった「相互理解」の部分など
少年の「成長」を合気道を通しながら
丁寧に描いていく部分は見所です。
②家庭内暴力というテーマ
本作品、合気道とホームドラマで言えば
ホームドラマ色の方が割合は高く
合気道:ホームドラマ=3:7くらいかも笑。
そしてその「ホームドラマ」を色濃くさせるのは
家庭内暴力という非常に重いテーマの点が強い。
正木家でウメとマチ子の姉弟で生活する要因には
かつて兄の滋による家庭内暴力が目立った末に
母親が兄の滋を刃物で刺してしまう事件があった。
母親の出所が近づくその頃
兄の滋は母親への復讐という理由から
正木家に姿をあらわすこととなる。
兄への嫌悪、母親への不安、家族を守りたい・・
ウメは複雑な感情を持ち葛藤しながらも
「合気道」を通した成長と共に困難に立ち向かう。
本作品一番の主題でもある「家庭崩壊」に対して
成長したウメや仲間とどう立ち向かっていくか。
合気道以上にこの重いテーマの行く末は見所です。
③合気道という「武」
「家庭内暴力」「ホームドラマ」など
重いテーマが目立つ本作品ですが
合気道という「武」の教えや学びなど
合気道という題材も丁寧に描かれていく。
ダニエル先生からは
合気道の「武」について
様々な視点や丁寧な説明
時には体でぶつかり合ったり
ウメに対してまっすぐに「教え」を諭す。
「合気道には攻める技はない」
「友達も敵も自分がつくるんだよ」
合気道という「武」の教えが
色んな視点で描かれていく部分は面白いし
すごく丁寧な描き方で好感が持てます。
~注意点~
①重いテーマ
やはり「家庭内暴力」「母の出所」など
複雑な家庭環境や重いテーマは胸やけ注意。
合気道の面を期待してみると
実は「家庭内暴力」というホームドラマの方が
割合としては多く感じるのでそこは注意。
②ダニエルと・・
最後の最後・・
ダニエルと・・・ここは伏せますが
ここはちょっと個人的に違和感が残った笑。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「EVIL HEART」を一言で言うならば
「友達も敵も自分がつくるんだよ」
タイトルはEVIL HEART
直訳すれば「邪心」となる。
ダニエル先生がウメに放った
「水心あれば魚心」という
相手の出方次第でこちらの出方も変わるという
まさに「合気道」という武の心
合気道を通して学んだ「相互理解」など
ウメが持ってしまった「邪心」が
どのように変化をみせていくか。
それこそが本作品のひとつのテーマであり
タイトルの意味を決める要素なのかもしれない。
個人的好み度 72%
コミックの品揃えが世界最大級の電子書店!
約9000作品の無料読み放題コーナーも充実!
電子書籍で購入なら《ebookjapan》がおススメ
コメント