本日の映画紹介は
「るろうに剣心 最終章 The Beginning」です。
○原作 和月伸宏
○監督・脚本 大友啓史
○音楽 佐藤直紀
○製作 ワーナー・ブラザース映画
○封切日 2021年6月4日
■あらすじ
剣心が不殺の誓いを立てるに至るまでの物語と、彼の頬に刻まれた十字傷の謎に迫る。剣心に復讐するべく東京を総攻撃した上海マフィアの頭目・縁との壮絶な戦い。その理由は、剣心が「人斬り抜刀斎」と恐れられていた幕末へとさかのぼり、剣心が自らの手で斬殺してしまった妻・雪代巴の存在、そして十字傷の謎へと繋がっていく。(映画.com引用)
週刊少年ジャンプ人気漫画「るろうに剣心」の
実写映画化シリーズ最終作となる本作。
The FinalからのThe Beginningのラスト。
前作The Finalは原作最後の雪代縁編を描き
本作The Beginningは剣心の過去に迫る。
剣心の不殺の誓いを立てるに至るまでと
頬に刻まれた十字傷の謎に迫る過去編となり
ここを最終作に持ってくる演出は吉か凶か。
~映像・音楽~
監督は「大友啓史」
作品歴、TVドラマでは大河ドラマ「龍馬伝」
漫画原作関連で言うと「3月のライオン」など。
演出やリアリティ追及などは
これまでの作品を観ていれば納得の出来で
漫画実写史上でもトップクラスに感じるほど。
音楽は「佐藤直紀」
劇中での音楽は過去編にあたり
それも剣心の愛する妻:雪代巴との
切ない死別を象る世界観に合わせた
とても効果的な音楽で引き込まれました。
~演出・時間~
上映時間は137分。
前作The Finalは雪代縁編を
一本にまとめるための2時間超。
そして本作最終作は原作の追憶編を
これまた一本にまとめるため2時間超。
雪代縁編に比べると余韻や演出に特に
時間を割いている印象での2時間超の感覚。
どちらにしても内容の濃さが目立ちます。
自らの手で斬殺してしまった妻の存在
幕末での剣心の十字傷ができた経緯など
バトルアクションよりはストーリーを
中心に据えた時代劇映画の印象が強い。
~見所ポイント~
①本格時代劇としての一本
これまでのシリーズは共通して
「るろうに剣心」の実写映画作品として
キャラクターやアクション要素を追及。
それに対して本作だけは原作:追憶編を
ベースとした演出、風景、描写を追及した
「本格時代劇」の一本として仕上げたような
そんな印象が強い作品だったと思います。
この点は今までの「るろうに剣心」とは
一線を画す出来栄えとして見所だと太鼓判。
②不殺の誓いの前の物語
当たり前ですが大事なポイント。
本作は剣心がまだ不殺の誓いを立てる前の
「人斬り抜刀斎」の時代の話ということで
これまでの逆刃刀ではない真剣となる。
人は簡単に死んでいくし血の雨も容赦無い。
剣心の狂気に満ちたその殺陣の「違い」は
表情、所作、剣技どれをとっても恐ろしく
この「違い」は実写化こそ一番際立つなと
本作を観ていて一番「見所」と感じた部分。
~注意点~
①The Beginningという最終作
最終章を二部構成としたうえで
The FinalからのThe Beginningという
この「展開」は吉か凶かどちらだったか。
これは結構賛否両論ありそうですが
個人的には見所でも挙げた剣心が抱える
「不殺」の誓い前後の「違い」を
効果的に魅せるという意味合いでは
成功だったのかなぁと思っています。
そしてシリーズ最高傑作と謳うだけあり
本作品は「るろうに剣心」としてだけでなく
大友啓史監督がひとつの「本格時代劇」として
挑んだ一本という意志のようなものも感じて
最終作にBeginningを持った意図にも思える。
②終盤アクションシーン
本作自体がストーリー寄りなため
アクションシーンは少なめなのですが
終盤アクションの部分は派手さが無いうえに
動きや余白のバランスが悪くて退屈気味で。
ここは唯一本作品で気になる場面でした。
派手さはなくても良いと思うんですが
単純にちょっと流れが悪かったなぁと。
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「るろうに剣心 最終章 The Beginning」
を一言で言うならば
「るろうにシリーズ最高傑作」
10年を超えたるろうに剣心実写化の
シリーズ第5段最終作のThe Beginning。
個人的には一本の映画作品として
そして時代劇映画としての完成度の面では
謳われた通りシリーズ最高傑作の太鼓判。
TVシリーズ人気の「追憶編」を基に
大友啓史監督の「本格時代劇」として
そして何よりこれまでの長い期間を経た
演者さん達との「重み」を感じる本作は
今年度の漫画実写化作品では断トツでした。
5つ星評価
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