本日のマンガ紹介は
「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」です。
![](https://manga-beta-beta.com/wp-content/uploads/2020/02/志乃ちゃんは自分の名前が言えない-211x300.jpg)
○作者 押見修造
○出版社 太田出版
○掲載誌 Web連載空間「ぽこぽこ」
○発表期間 2011~2012年
○巻数 全1巻
■あらすじ
”自分の名前が言えない”大島志乃。
そんな彼女にも、高校に入って初めての友達が出来た。ぎこちなさ100%コミュニケーションが始まる。いつも後から遅れて浮かぶ、ぴったりな言葉。 さて、青春は不器用なヤツにも光り輝く……のか?(amazonより引用)
~ジャンル分類~
コンプレックス交錯青春漫画
~要素方程式~
[吃音]×[コンプレックス]
=[青春劇]+[相互理解]
高校に入って
クラスで初めての自己紹介の場で
自分の名前が言えない女の子
大島志乃が送る青春日常劇。
![](https://manga-beta-beta.com/wp-content/uploads/2020/02/1自己紹介.jpg)
自分の名前が話せないという
独特な題材で展開されていく本作品は
同級生とのコミュニケーションや葛藤など
じわじわと物語性を高めてを描かれていく・・。
~見所ポイント~
①自分の名前が言えない
本作品のタイトルにもなっている通り
大島志乃という女の子は 緊張したり
ある発音で言葉が出てこない特徴を持っている。
作品内では正確に描写はされていませんが
いわゆる「吃音症」である。
![](https://manga-beta-beta.com/wp-content/uploads/2020/02/2大島.jpg)
大島志乃は上手く話せなかったり
自分の気持ちを伝えられずに
学校生活でも苦労をしていく中で
一生懸命コミュニケーションを取ろうとする。
まずはそんな志乃ちゃんの頑張る姿が
いかにもでベタな青春劇で心動かされます。
②コミュニュケ―ション
この作品は吃音症の大島志乃が
友達の加代ちゃんや菊池との
狭い範囲ではありますが
ぎこちないコミュニケーションに奮闘する。
![](https://manga-beta-beta.com/wp-content/uploads/2020/02/3加代ちゃん.jpg)
![](https://manga-beta-beta.com/wp-content/uploads/2020/02/4菊池.jpg)
題材は「吃音症」ではありますが
それは物語の「基点」であって
実際読んでみると
その基点から広がるコミュニケーションの
難しさとか葛藤だとか
そういう部分が真摯に描かれています。
これは誰しもが共感できる内容だと思う。
③コンプレックスとは・・
「吃音症」で悩む大島志乃が
必死に友達との「コミュニケーション」を取ろうとして
相手を理解しようだとか
自分を理解して欲しいなどの
強い想いを感じる作品です。
大島志乃は物語終盤
友達に誘われた加代ちゃんと組んだバンド発表に
自分の気持ちが空回りした事で
最終的には参加することを止めてしまった。
そして加代ちゃんが一人で発表を終えた直後に
今までにないくらいの大きさ、鮮明さで
声を上げて自分の気持ちを高らかに叫ぶ。
![](https://manga-beta-beta.com/wp-content/uploads/2020/02/5大島叫ぶ!.jpg)
本作品の一番の見所は
実は「吃音症」でも「コミュニケーション」でもなく
「人が抱えるコンプレックス」という
「内面傾向に落ちる人間思考」の表現だと思う。
作品序盤、友達の加代ちゃんが
自分に話しかけるも上手く話せない志乃に対して
「喋れないんなら紙に書けばいいじゃん」と
はっきり言うシーンがあるのですが
実はこれが「コンプレックス」という題材の
ひとつの答えなんだと思っています。
自分の人生観の中で思うのは
「コンプレックス」は自分の内面で悩んでいても
解決はしないし、かといって・・・
すぐにそれを自分の力で治す事も難しいと思う。
ただ、それを「別の部分」で補ったり
そもそもそのコンプレックスというものを
「他の人が認めてくれる」のなら
それはもうコンプレックスではないのではないかと。
それを実行する為に必要なものは
実は「勇気」ひとつだけであって
その「勇気」を実行した大島志乃の
叫ぶ本作品終盤場面は素晴らしいの一言。
~注意点~
①押見修造ファンの皆様へ
強いて言うなら
押見ファンが期待しているであろう
「ドブゲロ」で「クソムシ」などの
洗練された汚表現は皆無だという事ぐらい笑。
これはでも、確実に注意点です。
自分も最初は「また変な題材で変態漫画」を
という先入観で読みましたが笑
内容は非常に真摯で賢明な作品で
良質な青春物語だったと思っています。
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「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」
を一言で言うならば
「人が抱えるコンプレックスとは」
「吃音症」という題材を通して
人間が抱えるコンプレックスや内面傾向を
数人の友達とのコミュニケーションや
青春劇を織り交ぜて展開する本作品。
相手を理解したい
自分を理解して欲しいという気持ちに
必ずしも立ちはだかるコンプレックスは
実は誰しもが持ち合わせているもの。
そのコンプレックスという題材を
押見先生自身の実経験である「吃音症」で
非常に真摯に描いている本作品は
なかなか読みごたえのある内容です。
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