本日のマンガ紹介は 「南瓜とマヨネーズ」です。
○作者 魚喃キリコ
○出版社 宝島社
○掲載誌 CUTiE Comic
○発表期間 1998年
○巻数 全1巻
■あらすじ
わたしたちの生活 毎日 日常
だけでも今でもたまに思うことがある
ハギオだったらなんでもしてあげるのにってね
せいちゃんとあたしは同棲をはじめて1年半になる
同棲のキッカケはたいしたことじゃない
なんとなくいつのまにかそうしてたってだけだ
胸のつまる苦しい恋とはちがって
なんとなくいつのまにか
というのはとても楽だったし
情がわくのもすごく簡単なことだった
~ジャンル分類~
モノクロ恋愛漫画
~要素方程式~
[淡々]×[恋愛]
=[切ない]×[苦しい]
作者名の「魚喃」は「なななん」って読みます。
初見では絶対に読めない笑。
内容は、あらすじにコミックの冒頭の
言葉をそのまま書きましたが
登場人物は
「あたし」「せいちゃん」「ハギオ」 の三人で、
淡々とした日常が描かれていく恋愛漫画です。
「せいちゃん」の音楽バンドの夢を支えるため
日々バイトやお水でお金を稼ぐ「あたし」と、
過去に「ハギオ」に振り回された経験があるが
それでもハギオを好きな「あたし」。
物語は、
「あたし」が「ハギオ」に再会することで動く。
~見所ポイント~
①淡々とした雰囲気
まず見所というか、特徴というか、
この作品は、描き方が非常に淡々としています。
画風も淡々としています。
描き方と画風がマッチしてます。
同棲1年半という設定も重なってか
「あたし」と「せいちゃん」の
部屋での会話、無言のシーン。
すべてが淡々としていて、ものすごくリアルです。
「間」が上手いんですきっと。本当にリアル。
非常に「虚無」というか「痛さ」というか、
そういうものを「淡々」と描かれていくので、
ものすごく読んでいてダメージがあります。
そこが見所なんですが
注意点でもあるような気がします。
②3人の登場人物
この作品の見所はなんなんだろう・・
すごく伝えるのが難しい。
まずは登場人物の3人が重要です。
「あたし」は、「せいちゃん」を支えるため、
お水や売春までしてしまう女。
かつて「ハギオ」の子供をつくってあげて、
おろしてあげて、それでもハギオが好きな女。
「せいちゃん」は、音楽バンドに夢をみるものの、
現在はバイトもせず部屋でのんびりとすごす男。
「ハギオ」は、いくつもの女と付き合って
恋愛にも冷めている男。
「あたし」を冷たい目で見下すときがある男。
「せいちゃん」と「ハギオ」
が関係を持っていないことから、
やはり「あたし」がこの作品で一番の視点で
「あたし」が何を思って、
何に傷ついて、そういうところが見所です。
ただ、あるのは「虚無」や「痛さ」、
そんなものしかないかもしれない。
③好きになること
結局「好きになること」って何なのか。
これがこの作品のテーマかもしれない。
1年半を過ごして、何かで笑ったり、
話題が無くなり、空気のような関係になったとき、
「あたし」と「せいちゃん」をつなぎとめておくものは、何なのか。
かつて、ハギオのために子供を作り、
おろしてあげたという「あたし」、
それでもハギオのことが好きな「あたし」。
「あたし」が「ハギオ」を好きな理由は何なのか。
この二つの視点が
作品の中での見所なんだと思います。
「あたし」と「せいちゃん」を
つなぎとめておく理由。 「情」ではない理由。
これがわかるようなシーンが、作品内にあった。
結局「あたし」と「せいちゃん」を
つなぎとめていると思っていたものは
「お互いがお互いを補うため」
そしてこのシーンでは
「自分は相手にとって必要な存在」だと
思い込んでいた自分勝手な”ウソ”が
崩れそうになってしまった非常に痛いシーン。
「相手が自分にとって必要」
と思うのは良いとしても
「自分が相手にとって必要」
と思い込むと、傷つく場合がある。
一方、「あたし」が「ハギオ」を好きな理由。
これはわからない。
好きなことは事実だけど、理由がみつからない。
むしろ、答えがでていたら
「あたし」は「ハギオ」のもとへ行きます。
この「あたし」が「ハギオ」を好きな理由が
わからないのがテーマなんでしょう。
「誰かを好きになる」ことがわらなくなってきたり
「好き」って何なのか、 そういうことを
ボーっと考えたことがある人には心にくる。
そして、そういうことで辛い思いをした人
たぶん最後のシーンは泣きます。強烈です。
~注意点~
①切なさMAX
非常に淡々としているし
これは作者の実体験からくるものらしく
すごく痛々しいものが蔓延しています。
恋愛漫画のジャンルにはしていますが
これを見ても「切なさ」しか残りません。
楽しくはないのでご注意を・・。
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「南瓜とマヨネーズ」を一言で言うならば
「南瓜とマヨネーズぐらいの関係」
物語中、血液型の相性について話す「あたし」。
「せいちゃん」とか「ハギオ」との
「つなぎとめておく」がわからない「あたし」が
友達と「血液型の相性」を話しているシーン。
なんだかそっちのほうがよっぽど現実的な気がして
自分としては、ものすごく切ない場面だった。
でも、結局「つなぎとめておくもの」って
簡単にあるものじゃないし、1年半という
同棲の中で「あたし」と「せいちゃん」の関係は
日常の中での
「南瓜(かぼちゃ)」と「マヨネーズ」
ぐらいかもしれない。
そんな程度のものなのかもしれない。
そういう意味でのタイトルなのかと
今は感じています。
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