本日のマンガ紹介は 「南瓜とマヨネーズ」です。
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○作者 魚喃キリコ
○出版社 宝島社
○掲載誌 CUTiE Comic
○発表期間 1998年
○巻数 全1巻
■あらすじ
わたしたちの生活 毎日 日常
だけでも今でもたまに思うことがある
ハギオだったらなんでもしてあげるのにってね
せいちゃんとあたしは同棲をはじめて1年半になる
同棲のキッカケはたいしたことじゃない
なんとなくいつのまにかそうしてたってだけだ
胸のつまる苦しい恋とはちがって
なんとなくいつのまにか
というのはとても楽だったし
情がわくのもすごく簡単なことだった
~ジャンル分類~
モノクロ恋愛漫画
~要素方程式~
[淡々]×[恋愛]
=[切ない]×[苦しい]
作者名の「魚喃」は「なななん」って読みます。
初見では絶対に読めない笑。
内容は、あらすじにコミックの冒頭の
言葉をそのまま書きましたが
登場人物は
「あたし」「せいちゃん」「ハギオ」 の三人で、
淡々とした日常が描かれていく恋愛漫画です。
![](https://manga-beta-beta.com/wp-content/uploads/2020/01/1物語冒頭.jpg)
「せいちゃん」の音楽バンドの夢を支えるため
日々バイトやお水でお金を稼ぐ「あたし」と、
過去に「ハギオ」に振り回された経験があるが
それでもハギオを好きな「あたし」。
物語は、
「あたし」が「ハギオ」に再会することで動く。
~見所ポイント~
①淡々とした雰囲気
まず見所というか、特徴というか、
この作品は、描き方が非常に淡々としています。
画風も淡々としています。
描き方と画風がマッチしてます。
同棲1年半という設定も重なってか
「あたし」と「せいちゃん」の
部屋での会話、無言のシーン。
すべてが淡々としていて、ものすごくリアルです。
「間」が上手いんですきっと。本当にリアル。
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![](https://manga-beta-beta.com/wp-content/uploads/2020/01/3リアル2.jpg)
非常に「虚無」というか「痛さ」というか、
そういうものを「淡々」と描かれていくので、
ものすごく読んでいてダメージがあります。
そこが見所なんですが
注意点でもあるような気がします。
②3人の登場人物
この作品の見所はなんなんだろう・・
すごく伝えるのが難しい。
まずは登場人物の3人が重要です。
「あたし」は、「せいちゃん」を支えるため、
お水や売春までしてしまう女。
かつて「ハギオ」の子供をつくってあげて、
おろしてあげて、それでもハギオが好きな女。
「せいちゃん」は、音楽バンドに夢をみるものの、
現在はバイトもせず部屋でのんびりとすごす男。
「ハギオ」は、いくつもの女と付き合って
恋愛にも冷めている男。
「あたし」を冷たい目で見下すときがある男。
「せいちゃん」と「ハギオ」
が関係を持っていないことから、
やはり「あたし」がこの作品で一番の視点で
「あたし」が何を思って、
何に傷ついて、そういうところが見所です。
ただ、あるのは「虚無」や「痛さ」、
そんなものしかないかもしれない。
③好きになること
結局「好きになること」って何なのか。
これがこの作品のテーマかもしれない。
1年半を過ごして、何かで笑ったり、
話題が無くなり、空気のような関係になったとき、
「あたし」と「せいちゃん」をつなぎとめておくものは、何なのか。
かつて、ハギオのために子供を作り、
おろしてあげたという「あたし」、
それでもハギオのことが好きな「あたし」。
「あたし」が「ハギオ」を好きな理由は何なのか。
この二つの視点が
作品の中での見所なんだと思います。
「あたし」と「せいちゃん」を
つなぎとめておく理由。 「情」ではない理由。
これがわかるようなシーンが、作品内にあった。
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![](https://manga-beta-beta.com/wp-content/uploads/2020/01/6お互い3.jpg)
結局「あたし」と「せいちゃん」を
つなぎとめていると思っていたものは
「お互いがお互いを補うため」
そしてこのシーンでは
「自分は相手にとって必要な存在」だと
思い込んでいた自分勝手な”ウソ”が
崩れそうになってしまった非常に痛いシーン。
「相手が自分にとって必要」
と思うのは良いとしても
「自分が相手にとって必要」
と思い込むと、傷つく場合がある。
一方、「あたし」が「ハギオ」を好きな理由。
これはわからない。
好きなことは事実だけど、理由がみつからない。
むしろ、答えがでていたら
「あたし」は「ハギオ」のもとへ行きます。
この「あたし」が「ハギオ」を好きな理由が
わからないのがテーマなんでしょう。
「誰かを好きになる」ことがわらなくなってきたり
「好き」って何なのか、 そういうことを
ボーっと考えたことがある人には心にくる。
そして、そういうことで辛い思いをした人
たぶん最後のシーンは泣きます。強烈です。
~注意点~
①切なさMAX
非常に淡々としているし
これは作者の実体験からくるものらしく
すごく痛々しいものが蔓延しています。
恋愛漫画のジャンルにはしていますが
これを見ても「切なさ」しか残りません。
楽しくはないのでご注意を・・。
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「南瓜とマヨネーズ」を一言で言うならば
「南瓜とマヨネーズぐらいの関係」
物語中、血液型の相性について話す「あたし」。
「せいちゃん」とか「ハギオ」との
「つなぎとめておく」がわからない「あたし」が
友達と「血液型の相性」を話しているシーン。
なんだかそっちのほうがよっぽど現実的な気がして
自分としては、ものすごく切ない場面だった。
でも、結局「つなぎとめておくもの」って
簡単にあるものじゃないし、1年半という
同棲の中で「あたし」と「せいちゃん」の関係は
日常の中での
「南瓜(かぼちゃ)」と「マヨネーズ」
ぐらいかもしれない。
そんな程度のものなのかもしれない。
そういう意味でのタイトルなのかと
今は感じています。
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