マンガ紹介「星守る犬」

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本日のマンガ紹介は 「星守る犬」です。

○作者 村上たかし
○出版社 双葉社
○掲載誌 漫画アクション
○発表期間 2008年
○巻数 全1巻

■あらすじ
 朽ち果てた車の中で寄り添うように、男性と一頭の犬の遺体が発見された。鑑定の結果は男性が死後1年。だが犬は死後わずか3ヶ月。この時間差が意味するものとは? それは哀しくも愉快な一人と一頭の、残されたわずかな“生”を生き抜く旅の終着点―。(漫画レビュードットコムより引用)  

~ジャンル分類~ 
おじさんと忠犬の日常漫画 

~要素方程式~ 
[忠犬]×[おとうさん]×[ドライブ]
=[涙]×[最後の別れ]

この作品の主人公は
仕事も住む場所も家族も失った”おとうさん”と
そのおとうさんに懐く捨て犬“ハッピー”です。

全財産が尽きるまで、南へドライブした結果
最後に辿り着いたのはバーベキュー場であった。

出典:コミック「星守る犬」

冒頭のモノローグ。
おとうさんとハッピーの悲しい物語の始まり。

話のあらすじは至ってシンプルで、
冒頭のモノローグの通りの物語が続き、
ストーリーに関してはひねりも意外性もない。

予想通りの結末と絶望しかないこの物語は
読んでいて悲しくなる。
それ以外の感情はほとんどないのかも。

~見所ポイント~ 

①絶望そのもの、終末的ストーリー

物語序盤

娘のみくちゃんは遊んでくれて、
おかあさんはエサをくれて
おとうさんは一緒に散歩にという
あたり前な日常が続いていく。

出典:コミック「星守る犬」

しかし、何年か経ってしまえば、
娘のみくちゃんは遊んでくれなくなり、
おかさんではなくおとうさんがエサをくれた。

そんな中、いつも変わらずに
散歩へ行ってくれるおとうさんも
口数が減ったり時間帯がお昼になったりと
少しずつ日常が変わっていく。

いよいよ家族は壊れおとうさんはひとりぼっちに。

家も家族もなくなったおとうさんとハッピーは
全財産をかけて南へドライブへ出かけ
終着点のバーベキュー場で最後の時を迎える。

これは残念ながら救いようのない話です。

出典:コミック「星守る犬」

救いようのないストーリーの中での
おとうさんの一言とハッピーの健気さが
度々涙を誘います。

悲しい悲しいお話ですがそこがまず見所。

②ハッピーの健気さ

この作品の一番の魅力は
なんと言っても健気なハッピーです。

ご主人さまでもある“おとうさん”に懐き、
おとうさんとの散歩を楽しみに待つハッピー。

終着点のバーベキュー場で
おとうさんが動かなくなってもなお、
食べ物を持ってきたり
星を眺めてずっと生きようとするハッピー。

出典:コミック「星守る犬」

この“ハッピー”の健気さが、
この作品の悲しさを一
層増してしまっているのだけれど

この絶望的な物語の中での
唯一の光でもあるんです。

③日輪草

星守る犬が終わった次に“日輪草”という
その後のストーリーが掲載され終わりを迎えます。

この日輪草というストーリーでは

おとうさんとハッピーの
死体撤去を受け持つ奥津が

おとうさんとハッピーの
死の経緯や道のりを車で遡っていきます。

話の大筋としては
奥津が昔飼っていた犬の記憶が主であり

この「星守る犬」という
タイトルの意味や犬という存在の大切さを
しっかりとそしてゆっくりと描いていきます。

出典:コミック「星守る犬」
出典:コミック「星守る犬」

おとうさんとハッピーの
絶望しかないストーリーに

少しの希望を与えるシーンや
犬の存在を説く場面など

どちらかといえば作者のテーマは
ここに集約されていると言っても過言ではない。

ある意味こちらの方が涙を誘うシーンが多いので
涙もろい人はハンカチの用意を忘れずに・・・。

~注意点~ 

①犬を飼った人と飼っていない人

まず一言。自分は犬が苦手です。
なので犬は飼ったことがありません。

この作品は「絶望的な物語」と
「犬の健気さ」の凹凸が魅力ですが
正直、犬を飼ったことがある人の方が
心動かされる作品です。

言い換えれば
犬を飼ったことがある人と
飼ったことがない人で

多少なり感想とか共感とか
全体的な読み応えが変わるかもしれない。

もちろん、悲しくそして涙を誘う物語なんですが
犬という存在を普段どう感じていたかを
再確認させる場面において飼っていない人には
素通りしてしまう可能性あり。

②絶望的

絶望的な物語と犬の健気さの凹凸が
魅力で見所の作品ではありますが

絶望的な物語の方に関しては
本当に良い事がないというか、
救いがひとつもない作品です。

間違いなくバッドエンドです。

ですので、これを読んで例え涙を流しても
読後の感動は上の空。
読後は犬の存在の再確認だけです。

もしも絶望的な物語と
犬の健気さの凹凸が魅力ならば、

その犬の健気さが
絶望的な物語にひとつ光をもたらすような
意外な結末や感動的な場面が
ひとつでもあったら良かったなぁと
偉そうですが勝手に思ってしまいました。

日輪草がそれに似た結末でもありましたが、
あれは奥津の行動でもありちょっと物足りない。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「星守る犬」を一言で言うならば

「おとうさん さんぽにいきましょうよ


非常に悲しく、そしてそのまま
悲しく終わってしまう物語です。
しかし、犬の健気さや犬の大切さを
再確認させてくれる作品です。

犬を飼ったことがあれば
この作品の評価は変わっていたと思う。

それでも読んでいて
目頭が熱くなったことは間違いないし
「良い漫画」だと思う。

読後感は何も残らない可能性があるけど。  

個人的好み度
 66%

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