本日のマンガ紹介は 「ヒミズ」です。
○作者 古谷実
○出版社 講談社
○掲載誌 週刊ヤングマガジン
○発表期間 2001-2003
○巻数 全4巻
■あらすじ
「え~8月19日晴れ、オマケ人生初日です」。カセットテープにそう吹き込むこの少年住田は、ボート屋に一人で住んでいる。彼の母親は、新しい男とどこかへ逃げてしまってから、住田はひとりボート屋に住み、学校にも行かなくなった。
主人公住田は、「ある出来事」以降、期限を一年と決め、「悪いやつ」を探すことになった。
~ジャンル分類~
シリアス日常サスペンス漫画
~要素方程式~
[絶望]×[悩み]×[濃密思考]
=[ドロドロ]×[シリアス]
ギャグ漫画「稲中卓球部」で有名な古谷実。
強烈な作風であったギャグを一切排除した
完全なるシリアスで限りなく暗い作風である
この「ヒミズ」は当時すごく衝撃的だった。
1巻の帯にも
「笑いの時代は終わりました・・。
これより不道徳の時間を始めます。」
と言っている通り内容は完全シリアス。
限りなく「鬱」系統の作品になります。
物語の基本軸は中学生活を送る主人公が
ある事件をきっかけに、自分が死ぬ前に
「悪い奴」を探しに行く旅に出るという
末恐ろしく不気味なストーリーです。
ちなみにタイトルである
「ヒミズ」は日不見(日見ず)と言われる
モグラ科の動物です。
「俺は普通でいい、だから誰も迷惑をかけるな」
という、住田君のある意味理想の生き方に
このヒミズという動物がリンクしているのかと。
~見所ポイント~
①主人公住田の想い
基本的に住田君の視点で
日々の生活シーンが描かれていきます。
住田君のモヤモヤ感と日常シーンの中に
垣間見える非日常の出来事のバランスが
震える内容でこのマンガの一番の魅力です。
とにかく暗く中学生である住田君の
人生観、絶望、悩み、妬みなどを
一人で展開していき一人で決着する。
住田君の想いは作品中にいくつも登場する。
住田君はどうにも
「特別」を目指し夢を持つ若者を嫌い
何故そのことを許せないのかに悩む。
自分に大きな何かがないから妬むわけでもなく
夢を持つ人がマルで夢を持たない人がバツという
そんな世間的風習が嫌いというわけでもない。
本作品の突出した見所は
こうゆう中途半端な揺れるテーマかもしれない。
「暗い中にも明るいことがある」とも違うし
「ただただ暗い内容を提示する」とも違うし
「モヤモヤ感を吐き出しただけ」っていう印象。
それでもこういう
「妙にスケールの大きい悩み」って
中学とかに抱える悩みにありそうな気もする。
住田君のような気持ちは否定しきれない。
~注意点~
①限りなく欝々しい
非常に暗いです。本当にどうしようもなく。
作者特有の緊張感ある演出や怖い描写は
ホラーにも近い怖さなので注意です。
またテーマも物語のラストも「モヤモヤ」が続き
中途半端でしっくりしない後味の悪さがあるので
なんともスッキリしない欝々しさに溢れる作品。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ヒミズ」を一言で言うならば
「ヒミズな住田の結論は?」
解決しないんですよ。
マンガでいう起承転結でいう「結」が
本人もすっきしていないというか
そのまま描いてしまったというか。
それでも物語中の住田君の悩みは
必ずしも否定しきれない部分はあるし
決して肯定できるものでもない。
そして本作品以降、同じような雰囲気の
作品を描き続ける古谷実の不気味さは
どこへ向かうのかが一番気になるところです。
個人的好み度 66%
コミックの品揃えが世界最大級の電子書店!
約9000作品の無料読み放題コーナーも充実!
電子書籍で購入なら《ebookjapan》がおススメ
コメント