本日の映画紹介は
「恋は雨上がりのように」です。
○原作 眉月じゅん
○監督 永井聡 ○脚本 坂口理子
○音楽 伊藤ゴロー
○製作 東宝映画 AOI Pro.
○封切日 2018年5月25日
■あらすじ
陸上競技に打ち込んできたが、アキレス腱のけがで夢をあきらめざるを得なくなった高校2年生の橘あきら(小松菜奈)。放心状態でファミレスに入った彼女は、店長の近藤正己(大泉洋)から優しい言葉を掛けてもらったことがきっかけで、この店でアルバイトを始めることにする。バツイチ子持ちである上に28歳も年上だと知りながらも、彼女は近藤に心惹(ひ)かれていく。日増しに大きくなる思いを抑え切れなくなったあきらは、ついに近藤に自分の気持ちを伝えるが……。(YAHOO映画より引用)
原作漫画(眉月じゅん)による実写映画作品。
話の大筋は17歳女子高生が
冴えない45歳中年おじさんへ片思いをする
年の差恋愛ストーリー。
原作漫画は「情景」「感情」に重きをおいて
すごく繊細で丁寧な印象が魅力の作品で
実写化でその雰囲気をどう表現するかは見所。
~映像・音楽~
監督は「永井聡」
『帝一の國』などを手掛けCMディレクターとして
活躍をされている方のようで、ここはすごく納得。
漫画原作は切なく淡く情景的な雰囲気ですが
本作品冒頭のOP演出が原作とは違うニュアンスで
ここは改めてみるとCMなどキャッチーな演出が
すごく良く出ていたなぁと納得。
音楽は「伊藤ゴロー」
ギタリストで音楽プロデューサー。
ここは先に挙げたOPからその手腕が感じられ
漫画原作よりも爽やかな印象を与えるサウンド。
~演出・時間~
上映時間は111分。
原作は割としっとりと穏やかにゆっくりと
情景を繊細に描く印象の作品なんですが
本作品もその原作雰囲気を守りながら
それでいてテンポを遅く感じさせない
ギリギリのラインを守っている印象があった。
ですのでそこまで中だるみ無く
すごく良い時間配分だったなぁと思います。
~見所ポイント~
①原作通りの年の差恋愛
17歳女子高生と45歳中年のおじさん。
なかなかありえない年の差の恋愛模様ですが
この切なさや淡い印象は原作通りの印象です。
なかなかに原作すべての場面を描けないという
実写映画の難しい部分は、個人的には良く選別して
上手くまとめていた印象がありました。
それはほぼすべての原作登場キャラや関係性が
この2時間未満で登場していることでわかる。
もちろん「この演出が」「このシーンが」と
個人的に入れて欲しいシーンが無かった部分は
あったけれど、考えてみると一つの物語として
上手くまとまっていたなぁと素直に関心しました。
②原作キャラの配役
橘あきら(17歳女子高生):小松菜奈
近藤正己(45歳中年親父):大泉洋
大泉洋さんはこの配役はきっとハマってると
というより「自然なおっさん」を演じてくれると
期待していて、その期待は裏切りません笑。
小松菜奈さんは映画を観る前はうーんと思ったが
映画を観る限り全く違和感なく素敵な演技でした。
また舞台にもなるファミレス「ガーデン」の
完成度が高すぎてびっくり笑。ここは一番感動。
調べてみると実際のファミレスを改装したらしく。
ここは原作を読んだ人はうなずける完成度。
③淡く切ない恋の話
原作は最近の漫画では珍しいかもしれない
「情景」をすごく大事にするコマ割りと演出で
モノローグも少ない「無口な女子高生」が魅力。
そこにはタイトルにもある「雨」が特に重要で
本作品でも「雨」や「雨上がり」の演出は光る。
また原作通りあまり「内心」「セリフ」よりも
「五感」や「感情」に重きをおく演出は納得。
こういう雰囲気の作品って割と珍しいのかと思う。
~注意点~
①原作との大きな違い
「このシーンが無い」とか
「この流れが違う」とか
そういう「原作の違い」ではなく
実は一番大きな原作との違いがあり注意。
それは45歳おっさんの「女子高生」への想いが
「恋心」までは発展せずに物語が進むことです。
原作の45歳おっさんは
ある程度の「恋心」を自覚する場面があるが
映画では恋心までは発展しない所で舵が切られる。
つまりは「何か物足りない」と
これは「恋愛作品」なのか何なのかという
本作品の絶妙な「距離感」を楽しめるかどうかは
もしかしたら人を選ぶかもしれない。
本作品タイトルに交えて言うならば
「雨が止むのを気長に待てるか」というような
そういう穏やかな切なさを待てる人でないと
物足りない「雰囲気映画」で終わってしまうかも。
もともと原作が「淡く」「穏やか」な作品で
映画でもその演出は忠実で繊細で良かったと思う。
ただ「良くできている」からこそ
「映画」としての「起点」や「展開」など
面白さと一部相反するこの「もどかしさ」。
ここはやはり「物足りなさ」を感じる人もいる。
②女子高生役の限界
あんまり配役の注意点とか書くと
そのファンの方に反感を買うかもしれませんが笑
ちょっとやはり「女子高生」と言われると・・
まあまあ違和感が感じてしまったかなと。
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「恋は雨上がりのように」を一言で言うならば
「雨上がりは淡くも爽やかな感情」
個人的にすごく日本映画らしいというか
奥ゆかしくて切なくて爽やかな印象もある
独特な距離感でつくられた恋愛映画でした。
雨が上がったときの何とも言えない気持ち。
淡く切なくも爽やかな感情が込み上げる気持ちは
まさに「恋心」の複雑な感情を表します。
17歳女子高生役の「小松菜奈」と
45歳中年親父役の「大泉洋」の二人が魅せる
独特な距離感を感じさせる素敵な映画でした。
5つ星評価
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