映画紹介「南瓜とマヨネーズ」

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本日の映画紹介は 「南瓜とマヨネーズ」です。

出典:映画.com紹介ページ(画像リンク)

○原作 魚喃キリコ
○監督・脚本 冨永昌敬 
○音楽 やくしまるえつこ
○製作 スタイルジャム
○封切日 2017年11月11日 

■あらすじ
 ミュージシャンを目指す恋人せいいちの夢を叶えるため、ツチダは内緒でキャバクラで働いていた。ツチダがキャバクラの客と愛人関係になり、生活費を稼ぐためにキャバクラ勤めをしていることを知ったせいいちは、仕事もせずにダラダラと過ごす日常から心を入れ替えてまじめに働き始める。そんな折、ツチダが今でも忘れることができないかつての恋人ハギオと偶然に再会。ツチダは過去にしがみつくようにハギオにのめり込んでいくが……。


1998年、魚喃キリコ発表の原作は
二人の男性間で揺れるツチダという女性視点を
独特な感性と漫画表現で描く恋愛漫画。

その実写映画化である本作品を
ツチダ役に臼田あさみ、せいいち役に太賀
ハギオ役にオダギリジョーで演じる。

個人的に原作漫画にはすごく影響を受けたので
本作品がどのように実写映画化として描かれるか
ファンにとっては気になる作品なのだと思う。

~映像・音楽~ 

監督・脚本は「冨永昌敬」

『乱暴と待機』(2010年)
『ローリング』(2015年) 
などを過去に手掛ける。 

音楽は「やくしまるえつこ」
劇中音楽は割と抑えめで解釈一致。
本作での音楽はものすごく好印象です。

~演出・時間~ 
 
上映時間は93分

原作漫画のモノクロ感。焦燥感。
時間を長くするのはおそらくNGで
むしろこの93分でも長い印象でした。

基本的に演出としてはツチダが主視点で
「せいちゃん」「ハギオ」という男性の
二人の間で揺れる気持ちが肝になります。

~見所ポイント~ 

①ツチダと二人の男

主視点はツチダという女性。

同棲をしている「せいちゃん」の音楽活動を
支えるため、仕事を掛け持ち健気に支える反面
その「情」とも思えるその「つながり」も感じ
苛立ちや悲哀も感じるシーンが描かれる。

そして、過去に関係を持った「ハギオ」という
忘れられない男性と出会うことで心は揺れ動く。

「情」のような関係にある「せいちゃん」
「恋」と思える関係に蘇るような「ハギオ」

注目すべきはツチダは二人のことが
紛れもなく「好きだ」ということ。

その「揺れ動く」20代後半女性の「気持ち」は
不安定で不足感があって「リアル」に刺さる。

②主演の3名

まずは主視点ツチダ役の「臼田あさみ」さん。
これは個人的に抜群に良かったし解釈一致です。

落ち込みのある時の顔と
可愛げのある時の顔の違いには驚く。

音楽活動でツチダに支えられる
せいちゃん役の「太賀」さん。

原作比較のなかでは一番違和感があるけど
本作「せいちゃん」の立ち位置がそもそも
大きく違うのでこれは別物として良し。

そしてつかみどころのないイケメンの
ハギオ役の「オダギリジョー」さん。
これもまたミステリアスでワイルドな
男性的な色香にぴったりなハマリ役でした。

③揺れ動く「好き」の感情

人を「好きになる事」とはどういうことか。
原作でもこの普遍的なテーマがあるけれど
その「揺れ動く」感情の切り取りは良かった。

そしてそれは劇的な場面からではなく
お互いの会話や小さな出来事から
じんわりと込み上げてくるような演出。

主演のリアルな演技にも交じり合って
すごく世界に引き込まれる見応えでした。

原作漫画とは全く違うラストだけど
個人的にツチダとせいちゃん再会の
曲を聞くあの場面は珠玉のワンシーン。
あの場面は原作に劣らない凄みがある。

~注意点~ 

①原作とどう向き合うか

やはり多くのコアファンもいる原作作品の
実写化ということで厳しい視線もあるなかで

個人的に原作は「好き」という普遍的な感情を
よりシンプルに、よりモノクロに、よりリアルに
言うなれば「生活音」のような世界観と思う中

本作もその「生活音」のような部分は
すごく実写化でも表現されていたと思うし
その「リアル」感は良かったと思う。
(エンドロールもまさに生活音で・・)

ただ、そもそもこの原作は90分映画になるような
容量や適応は無かったという時点で惜しい気もして
どうにもやはり「普通」の映画になってしまう。

テーマは「普通」で良いんですけど・・
その「普通」が映画としてまとめあげると
やはり実写化では「余分」なものがついてしまって。

60分未満の短編作品で
とことん原作の「生活音」のような演出を
濃くした方が傑作になるのだろうなと。

②せいちゃんの立ち位置

原作ベクトルで一番の違いは
ツチダが支えるヒモ男の「せいちゃん」が
本作では「自立」「成長」を魅せることで

これは原作ベクトルとは大きく相違し
個人的には原作のツチダの視点を遮るような
あまり良いとは思えない脚本だったと感じる。

これが先に挙げた「90分映画」の宿命というか
原作では足りない「容量」を補った結果か。

もちろんひとつの「映画作品」としては
今回の「せいちゃん」の立ち位置については
物語の起点としては悪くないんだけれども

やはり原作のあの「リアル」を活かすのなら
「せいちゃん」の「自立」は見たくなかった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「南瓜とマヨネーズ」を一言で言うならば

生活音のような恋愛映画  

生活音が聞こえてくるような
シンプルでリアルな世界観で描く
ツチダという女性の心情が刺さる本作品。

「好き」という普遍的な感情
「互い」の相性とか未来のこととか

不安定や不足感もあるなか同棲する
「せいちゃん」とのお互いの関係性は

あればそれは相性が良いような
なければそれはそれで問題無いような

日常のなかの
南瓜とマヨネーズぐらいの関係
なのかもしれない。

そういう意味でのタイトルなのかと
原作漫画、本作を見てもそう思います。

5つ星評価 3.6

(*’▽’)「映画紹介一覧はこちら」(*’▽’)



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